Enko Chem(以下、Enko)は、病害虫から農作物を守る、農家向けの新製品を研究開発しているスタートアップだ。いまや農作物保護は、持続的な食糧生産における重要な課題となっている。600種類以上の害虫が農作物に被害をもたらし、収穫量を最大で40%低下させるリスクにさらされている。

 創業者でCEOのJacqueline Heard氏は「私はDNAエンコードライブラリやAIといった新技術を農作物保護に活用したいと考え、Enkoを設立しました。より安全で、使用量が少ない農作物保護の製品を開発したいと考えています」と語る。

Jacqueline Heard
Enko Chem
Co-Founder & CEO
ボストンカレッジで生物学の博士号、MITスローンでMBAを取得。農業分野のスタートアップ起業、スタートアップ投資に携わる。2017年にEnko Chemを創業し、CEOに就任。Anterra Capitalのベンチャーパートナーも務める。
 Enkoは、病害虫による農作物保護のための初期段階の開発パイプラインを進めており、今後、米国および世界の農家向けのソリューションへと発展させていく予定だ。

 Enkoはこれまでの研究開発実績が評価され、順調に資金調達を重ねている。2020年6月には、シリーズBで4500万ドルの出資を受け、累計での資金調達は6600万ドルに上った。このシリーズBのリードインべスターは、マイクロソフト元会長のビル・ゲイツによって創設された、ビル&メリンダ・ゲイツ財団だ。

ビル&メリンダ・ゲイツ財団HP

 Enkoもコロナ禍でサプライチェーンの混乱に直面したが、早期に立て直し、事業への影響を小さく抑え、従業員の安全と雇用を維持できた。

 Heard氏は「Enkoは農作物保護における重要なイノベーターだと自負しています。農業の生産性を向上させ、安全性と持続可能を両立させた世界的なリーダーになりたいと思います」と語る。



RELATED ARTICLES
畑がテクノロジーの原点 inahoが創る「ロボットありき」の農業
畑がテクノロジーの原点 inahoが創る「ロボットありき」の農業
畑がテクノロジーの原点 inahoが創る「ロボットありき」の農業の詳細を見る
画像・動画AIで中古車を魅せる 99%の「撮れない売り手」を救うSpyne
画像・動画AIで中古車を魅せる 99%の「撮れない売り手」を救うSpyne
画像・動画AIで中古車を魅せる 99%の「撮れない売り手」を救うSpyneの詳細を見る
「宇宙のトヨタ」と呼ばれたい 衛星製造を5週間に短縮した設計思想とは Apex
「宇宙のトヨタ」と呼ばれたい 衛星製造を5週間に短縮した設計思想とは Apex
「宇宙のトヨタ」と呼ばれたい 衛星製造を5週間に短縮した設計思想とは Apexの詳細を見る
住友商事と提携・三井化学が出資、「脂肪」に特化した細胞培養スタートアップ Hoxton Farms
住友商事と提携・三井化学が出資、「脂肪」に特化した細胞培養スタートアップ Hoxton Farms
住友商事と提携・三井化学が出資、「脂肪」に特化した細胞培養スタートアップ Hoxton Farmsの詳細を見る
使うのは「電気だけ」、排出するのは「水だけ」 一石二鳥なDAC技術 Noya
使うのは「電気だけ」、排出するのは「水だけ」 一石二鳥なDAC技術 Noya
使うのは「電気だけ」、排出するのは「水だけ」 一石二鳥なDAC技術 Noyaの詳細を見る
ロボットが畑を縦横無尽に自動走行 Burroのロボットは人手に頼る農作業の救世主
ロボットが畑を縦横無尽に自動走行 Burroのロボットは人手に頼る農作業の救世主
ロボットが畑を縦横無尽に自動走行 Burroのロボットは人手に頼る農作業の救世主の詳細を見る

NEWSLETTER

TECHBLITZの情報を逃さずチェック!
ニュースレター登録で
「イノベーション創出のための本質的思考・戦略論・実践論」
を今すぐ入手!

Follow

探すのは、
日本のスタートアップだけじゃない
成長産業に特化した調査プラットフォーム
BLITZ Portal

Copyright © 2025 Ishin Co., Ltd. All Rights Reserved.