DeepMapは、自動運転車向けHDマップ(高精度3Dマップ)を手掛ける2016年に設立されたスタートアップだ。有能なエンジニアを結集し、確かなテクノロジーで作り出す高精度なHDマップは、まだまだ問題が山積する自動運転車のマーケットの発展に貢献している。自動運転車という新たなテーマを、企業単位だけでなく人類全体の課題としてとらえるDeepMapのビジョンとは。今回はCEO & Co-founderのJames Wu氏にインタビューした。

James Wu
DeepMap
CEO & Co-founder
1998年、中国の天津大学卒業。2003年にアラバマ大学バーミンガム校にて博士号を取得。Google、Apple、Baiduなどの勤務を経て、2016年4月にDeepMapを設立。

自動運転車マーケットの未解決の問題を解決したい

―まずDeepMapの事業について教えてください。

 DeepMapはHDマッピング(HD Map as a Service / 高精度3Dマップ)を提供しています。われわれのビジネスは、急速に注目されている自動運転車の分野のものです。自動運転車のマーケットに目を向けてみましょう。自動運転車なんてずっと先の未来のことだと思いがちですよね。たしかに自動運転車の実現はまだ先のことですが、今このマーケットには多くの企業が参入しています。ライドシェアサービス企業やITジャイアントたちがこぞって自動運転車事業を開始しているのです。

 一方、こういった企業はHDマップの必要性を強く感じてもいます。彼らはそれぞれ独自の車を開発していますが、HDマップの搭載もまた必要としているのです。そこに私たちは事業機会を見出しました。というのも、多くの企業は社内でマッピングのチームを持っていますが、スケールの小さいマップを作っているにすぎません。そういった小さなスケールのマップだと、車の動作にも影響するのは当然です。われわれが着目したのは、実際このマーケットには未解決の問題が山積みになっているという点です。莫大なリソースリストはあるものの、それを活用できる有能な人材は決定的に不足しています。スケールの大きな、かつ高精度のHDマップを製作できるノウハウを持った能力が求められているのです。

  そこで、われわれはマッピングにおいて経験豊かなシニアエンジニアを数多く採用し、DeepMapを設立しました。エンジニアたちをまとめ上げ、多くのクライアントを満足させるソリューションを提供できるよう努めています。サービスとしてHDマップを確実に提供する、これがわれわれの事業です。それは従来のデータダンプのようなものではありません。私たちは、実際にクライアント自らが自動運転車ビジネスの成功につながるようなサービスを提供します。クライアントが直面するHDマップに関する問題すべてを解決し、彼らを成功へと導きます。結局は、彼らの成功が、われわれの成功となるのです。

ハイレベルなマッピングを可能とする「LiDAR」

―御社はLiDARセンサーを使ってますよね。

 ええ、そうです。マッピングにおいて、私たちは色々なタイプのセンサーを用いています。そして今フォーカスしているのは、どのタイプのセンサーが自動運転車に適しているかということです。他社を見ると、開発熱心な企業では惜しみなく何十億ドルもの額をセンサー開発に投資しています。そして彼らはみなLiDARを使用しています。他にも、新たなタイプのLiDARを打ち立てようとする企業も複数現れています。また、Google WaymoやUber、Baiduといったメジャーな企業もを用いていますね。なので、弊社も自動運転車に適したセンサーとしてLiDARを使用しているのです。

―御社のセンサーにはどういった特徴が見られるのでしょうか。

 LiDARと搭載カメラは、物体検知と位置測定に重要な役割を果たします。物体検知はデータを収集するために、位置測定は車がマップ内のどこに位置するかを把握するために大事な機能です。とりわけこの2つが、LiDARを通じてより可能となった大きな特徴です。

Image: DeepMap

強みは「精度」と「データ容量」

―従来のマッピングと比べ、御社のマッピング技術の強みとは何でしょうか。

 大きく分けて2つあります。1つは精度です。私はこれまでマッピングを手がける企業に6社勤めてきましたが、従来のマッピングでは、精度はあまり重視されていませんでした。なぜなら、人間が運転する場合、目視で把握できるからです。実際に目の前に7メートルの間隔があっても、人は理解できますよね。ですが、HDマップというのは自動運転車に向けて使用されるものです。したがって、HDマップには高い精度が求められます。この精度こそ、私たちの強みの1つです。

 2つ目はデータ容量の拡張性です。従来のマップでもデータ容量が大きな問題でした。たとえば15年前、200ギガバイトは当時では大容量とされていました。しかし現在、スマートフォンでさえ100ギガバイト以上の容量があり、データ容量に関する問題は払拭されたかのように見えるでしょう。しかしHDマップにおいて、データ容量は従来のマップ以上に重要な生命線です。従来のマップと比較して、更新頻度も高くデータ容量はたいへん大きな問題となっています。こういったデータ容量にまつわることも、DeepMapなら解決することができるのです。

人類全体のスケールでとらえるDeepMapの展望

―最後に、DeepMapの描く未来像を教えてください。

 DeepMapは、自動運転車の抱える課題を人類全体の課題として考えています。それは、単に特定の国や企業に限ったものではありません。人類全体の課題です。ですので、われわれはこのマーケットの発展に貢献し、1人でも多くの人に役立つよう、強く願っています。そして、車の運転操作を知らない私の母親や、また子供たちでも搭乗できるような、より進んだ安全な自動運転テクノロジーを開発していきます。

 今後、自動運転が高い安全性と信頼性に到達するには、多くの企業と協力し、合理的な方法を確立しなければいけません。DeepMapにはそれを成し遂げるのに最適なマッピングエンジニアたちが揃っています。また、ライダーや集積回路など他の分野におけるエキスパートとも一緒に活動したいとも思っています。共に協力し、いまだ未完成であるパズルのピースを一つずつ埋めていきたいと思います。



RELATED ARTICLES
話題のBNPL(後払い決済)をBtoB向けに ドイツ発フィンテックBillieの目指すもの
話題のBNPL(後払い決済)をBtoB向けに ドイツ発フィンテックBillieの目指すもの
話題のBNPL(後払い決済)をBtoB向けに ドイツ発フィンテックBillieの目指すものの詳細を見る
電池交換ステーションでEVを短時間でフル充電状態に Ample 日本ではENEOSと協業
電池交換ステーションでEVを短時間でフル充電状態に Ample 日本ではENEOSと協業
電池交換ステーションでEVを短時間でフル充電状態に Ample 日本ではENEOSと協業の詳細を見る
シンガポール発電動キックボードシェアリング Beam APACで急拡大、日本展開も予定
シンガポール発電動キックボードシェアリング Beam APACで急拡大、日本展開も予定
シンガポール発電動キックボードシェアリング Beam APACで急拡大、日本展開も予定の詳細を見る
自動車からワイヤレスイヤホンまで オーディオコンポーネントの設計をサポートするDSP Concepts
自動車からワイヤレスイヤホンまで オーディオコンポーネントの設計をサポートするDSP Concepts
自動車からワイヤレスイヤホンまで オーディオコンポーネントの設計をサポートするDSP Conceptsの詳細を見る
2000万人利用の「バイクタクシー」 インド地方都市もカバー 二輪車の小回りで渋滞問題に挑む Rapido
2000万人利用の「バイクタクシー」 インド地方都市もカバー 二輪車の小回りで渋滞問題に挑む Rapido
2000万人利用の「バイクタクシー」 インド地方都市もカバー 二輪車の小回りで渋滞問題に挑む Rapidoの詳細を見る
秘密計算技術でデータとAIを保護 あらゆる企業のデータ活用・連携を促進するEAGLYS
秘密計算技術でデータとAIを保護 あらゆる企業のデータ活用・連携を促進するEAGLYS
秘密計算技術でデータとAIを保護 あらゆる企業のデータ活用・連携を促進するEAGLYSの詳細を見る

NEWS LETTER

世界のイノベーション、イベント、
お役立ち情報をお届け
全員にオープンイノベーション
ガイドブックもプレゼント


    世界テックトレンドから
    イノベーションを加速する。
    テック・イノベーション情報ポータル
    BLITZ Portal
    社員の声でイノベーションを効率化する
    アイデア管理プラットフォーム
    q-ideate

    Copyright © 2022 Ishin Co., Ltd. All Rights Reserved.