Image: Crossbar
IoTやクラウドを活用したAI処理が増えている一方で、データを逐一アップロードして処理する方法は電力や時間を消費し、データの蓄積量にも限度がある。デバイス自体にデータを蓄積することができればどうだろうか。セキュリティ、省エネなどの観点からも革新的な技術を持つCrossbar。Co-founder & CEOのGeorge Minassian氏に起業までの経緯や問題意識などを聞いた。

電源がなくても記録が維持できるメモリ

―どのような事業を展開しているのですか。

 私たちが作っているのは、電池や電源を取り外しても記録を保持することができる不揮発性メモリです。これが可能になることにより、できることが一気に広がります。

George Minassian
Crossbar
Co-founder & CEO
テキサス大学でPhD取得後、AMDに19年間務め、AMDと富士通のジョイントベンチャーなどを経て2010年にCrossbar起業。
 

―これまでどのような問題があったのですか。

 全てのデバイスにはマイクロプロセッサがありますが、通常マイクロプロセッサの中のデータを取りに行き、実行して、顧客側のコンテンツに保存する必要がありました。

 IoTデバイスのアプリケーション、スマートフォン、そしてクラウドについても同じです。フラッシュの技術について言えば、現在フラッシュカードに情報を蓄積することは難しくなってきています。なぜなら、情報の蓄積には電子を使っているのですが、高度なデバイスが小さくなるにつれ、電子の数は減っていくからです。数が少なくなると、情報の蓄積やミスが起こった時の修正がしにくくなります。

320の特許を取得

―その問題が解決できる技術を開発したのですか。

 スマートフォンはテラバイトになってきていて、自動運転車には毎秒1ギガバイトが必要になるなど、データの必要性はますます増しています。AMDとフラッシュ技術では、顧客を満足させられない状況になっていました。私がCrossbarを設立したころ、ちょうどミシガン大学である技術が開発され、大学側はこの技術で何が可能になるかアイデアがない状態でした。

―その技術を活用しているのですね。

 私たちがこれを引き受けさせてもらいました。この技術は、10ナノメーター以下でも通ることができ、そして情報蓄積のキャパシティは巨大です。これにより、必要なメモリーを全て持ちながら、プロセッサーのパワーも同時に保つことができるのです。2つ目のチップを使わずに多くのアプリケーションを動かすことができ、セキュリティ面でも安心です。

―どのようなビジネスモデルですか。

 埋め込みメモリについては、マイクロプロセッサーと統合されているので、その技術をライセンスで提供しています。いま320の特許権を取得しています。電力消費を抑えながら巨大なデータを蓄積できるので、グローバル企業が顧客になっています。将来的には、既存顧客と競合しない領域で私たち自身のコンポ―メントを持つことも計画しています。

―長期的ビジョンと日本市場への展開の可能性を教えてください。

 中長期的には、メモリーの世界のARMのような存在になりたいですね。私たちの技術が小さなものから大きなものまであらゆるプロダクトに使われている未来を目指しています。IPOも視野に入れています。日本市場については、何かを実現するために私たちの技術を必要としてくれる、戦略的な顧客企業と組むことができるといいと思っています。



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