【※編集部注】2020年2月3日、Crestaは2100万ドルの資金調達を発表しました。本記事は資金調達前に取材した情報をもとに執筆しています。(Crestaによる資金調達プレスリリース)
自動運転車よりも、身近なオフィスワークの生産性アップに貢献したい
―まずはCEOの経歴と、Cresta設立の経緯を教えてもらえますか?
私はパキスタン出身です。高校中退後、カリフォルニアに渡ってスタートアップで1年ほど勤務した後、コミュニティカレッジを経てカリフォルニア大学バークレー校に入りました。その時期、Redwood Center for Theoretical Neuroscienceで機械学習アプリケーションと脳に関するプロジェクトにも参加していたんです。
その後、スタンフォードの大学院に進み、自動運転車の研究や開発に携わりました。その中で、自動運転車はあらゆる人の生活にかかわる素晴らしい技術ですが、人々の生活における運転の時間はそれほど多くないことに気づきました。それよりも、オフィスで仕事をしている時間のほうが圧倒的に長いのだ、と。
労働者の大半を占めるオフィスワーカーは、一日8時間も退屈なオフィスで反復作業を繰り返しているわけですから、彼らの生産性を上げること、それこそが社会に寄与することであると感じたのです。
AIが優秀な営業スタッフの会話力を学習し、チームでシェアできる
―御社のビジネスは生産性を上げるためのサービス、ということですが、具体的にどういった製品を提供しているのでしょうか?
我々は生産性を2つのブロックに分けて考えることにしました。それは、スピードと成果です。スピードを10倍にし、成果を10倍にすれば、掛け合わせると100倍になります。私たちはまずセールスにかかわる営業担当チームをターゲットにしました。
―AIをどういったことに活用していくのでしょうか。
優秀な営業担当者のトークをAIに学習させ、効果的なセールス手法を蓄積していきます。それをAIがリアルタイムでガイダンスや提案という形で各スタッフに提供していきます。つまり、優秀なスタッフのノウハウをチームでシェアし、浸透させることで全体の営業クオリティを向上させていくのです。
―競合はいるのでしょうか。また他社にはない、御社の強みはどのような点でしょうか?
この分野に参入している企業は少なくありませんが、その多くがチャットボットを開発しています。しかしそれらは脆弱にして複雑なルールのもとに成り立つシステムなので、効率的に拡張していくことが難しくなっています。
その点、我々はルールベースではなく機械学習システムであり、長い会話の進み方からその方法をデモンストレーションし、学習していきます。そこが他社と当社システムの大きな違いです。
アメリカでの地盤を固め、ゆくゆくは世界展開も視野に
―今後の目標として海外展開も視野に入っていますか?
そうですね。今も国際的な企業とのパイプもありますので、今後は国際的な事業も進めていきたいと思っています。
―もし、日本で御社の製品を展開するとしたら、どのような企業がターゲットになってくるのでしょうか?
チャットやコールセンターで製品を販売する企業がいいですね。セールススタッフの会話力をAIが学習していき、それをチームでシェアしていくという当社の製品を十分に活用していただけるはずです。