Image: Percolata
2012年に設立されたPercolataは、店内設置センサーなどにより収集したビッグデータをもとに、来客数予測や従業員のシフト管理を実行するシステムを提供している。今回はFounder & CEOのGreg Tanaka氏にインタビューした。

Greg Tanaka
Percolata
Founder & CEO
カリフォルニア大学バークレー校で電子工学およびコンピュータサイエンスを学んだのち、SynopsysやRambusでマーケティングや戦略開発に携わり、2012年にPercolataを設立。現在は同社CEOを務める傍ら、Palo Altoの市議会議員としても活動。

既存の防犯カメラを活用して来客数を予測

―御社のビジネスモデルについて教えてください。

 私は、当社のビジネスを「FaaS(Forcasting as a Service)」、つまり予測サービスだと考えています。小売業者の過去データを大量に分析することにより、将来的な売上や来客数を予測します。来客数が予測できれば、必要十分なスタッフが確保できるようシフトを組んだり、在庫を調整したり、と現状に沿った無駄のないプランを立てることができます。さらにデータを活用し、どんな販売キャンペーンが成功するのか、ということも知ることができます。

―このようなビジネスが、今の小売業界に必要だ、ということですよね。

 その通りです。もちろん、これまでも小売業者の各店舗は前年度の売上実績などをもとに、販売計画やシフトプランを立てています。ただ、それはあくまで前年度のデータです。去年は雨だったけど、今年は晴れた、というだけでも大きな違いが生まれます。一方、私たちは売上データや気象データ、カレンダー上のイベントといったあらゆるデータを、機械学習ベースのシステムで蓄積、分析します。

―御社で専用のソフトウェアなどを販売しているのでしょうか?

 我々はクラウド上でサービスを提供しているので、特別なソフトウェアを購入していただくことも、専門のエンジニアも必要ありません。店舗に設置するセンサーなどは当社で用意していますが、今の時代、録画機能付きの防犯カメラを設置している小売店がほとんどですから、それをそのまま使わせていただくことも多いですね。

―来客数を予測することで、店舗側にどのようなメリットがあるのでしょうか。

 まずは効率的な従業員のシフト作成によるコスト削減および売上アップですね。ノースカロライナ大学の研究によると、小売業者の店舗では従業員が過多、もしくは不足している状態が営業時間の95%から98%を占めているといいます。それはつまり人件費の無駄遣いや、カスタマーサービスの低下につながることになります。来客数や客層を正確に予測することができれば、無駄な人件費を削減し、顧客サービスを向上させることができるのです。実際、当社のサービスを導入していただいた企業では、人件費が3〜5%減少し、売上が1〜4%アップしています。

Image: Percolata

予測結果を保証するサービス

―他社にはない、御社ならではの強みがあれば教えてください。

 私の知る限り、このようなサービスを提供している会社は他にありません。たいていは予測専用のソフトウェアをライセンス貸与する形をとっているので、それをインストールし、顧客自身がセットアップしなければなりません。一方、当社ではフリーのターンキー方式をとっているので、そこが一番大きな違いかもしれません。データをお渡しいただければ、我々が将来予測を提供するだけです。

 また、我々はその将来予測結果を保証している、という点も他社と一線を画すところかもしれません。料金をお支払いいただくのは、あくまで予測結果が正確であった場合です。これは、我々が独自のニューラルネットワークにもとづいたディープラーニング技術を採用しており、高度な統計モデルを採用しているからこそ成しえるサービスなのです。 

―起業の経緯を教えてもらえますか。

 私は日系4世のアメリカ人です。私の曽祖父は広島出身で、1880年頃にアメリカに来ました。私自身はロサンゼルスで育ち、カリフォルニア工科大学を出た後、カリフォルニア大学バークレー校に入りました。卒業後は生産マネジメントから販売や販売マネジメントに携わり、会社経営も手がけるなど、色々なことにチャレンジしました。余談ですが、今はパロアルトの市会議員も務めています。そんな中、コンピュータビジョンテクノロジーを用いて人々の移動を分析することにビジネスチャンスを見出しました。それが、当社のスタートです。

Image: Percolata

予測サービスの展開は小売業にとどまらない

―将来的な展望があれば教えてください。

 今は主に小売業者に特化した事業を展開していますが、予測サービスはどんな領域のビジネスにも必要だと思っています。機械学習はデータが増えれば増えるほど精度を高めていきますから、それを生かして別分野にも拡大していきたいと思います。

―日本を含め、海外進出も視野に入っているのでしょうか。

 もちろん、日本には非常に興味を持っています。まだ我々は日本にオフィスがないので、今後日本に進出する足掛かりとしても、良好なパートナーシップを結べる相手と出会えることを願っています。



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