企業のオンライン広告を不正やネガティブ効果から守る
―まずは、御社のサービス内容についてお聞かせください。
当社ではブランド各社やエージェンシーなど、主に広告関連業者に適切な広告環境を提供する企業です。インターネット上のオンライン広告には雑誌やテレビといったオフライン広告では考えられないような、さまざまな問題があり、広告主の頭痛のタネになっています。
―具体的にはどういった問題があるのでしょうか?
最も重要なのが、ブランドの適合性と安全性です。適合性というのは、たとえば、自動車会社がオンラインニュースサイトに広告を出す際、テロ関連記事の横に広告が提示されたらどうでしょう。これは、ネガティブなイメージがついてしまうので、逆効果ですよね。それが適合性です。安全性でいえば、不正広告が代表ですね。我々の製品はそういった問題から企業を守るものです。
―オンライン広告業界の背景や課題について、もう少し詳しく教えていただけますか?
不正広告やブランド適合性の問題は、20年以上前の、オンライン広告の草創期からありました。それがここ数年で肥大化してきています。フェイクニュース対策やブランドの安全性確保に、我々の計算では、年間1000億ドルもの経費がかかっています。これは膨大な額です。
各企業がこの問題に対応し始めたのが、10年ほど前。しかし、当時のテクノロジーは非常に単純で、データ処理能力も十分でなく、わずかな材料で人間とボットを判別したり、Webページの安全性を診断したりしていました。またその多くは、発生してしまった問題を検知するためのもので、トラブルを防止するところに至っていませんでした。
最新技術で不正広告を未然に防止
―Cheqはトラブルの事後検知や分析にとどまらないということですね?
はい。3年半前にサービス展開開始しましたが、当社は実際にトラブルが起きた後の診断ではなく、それを事前に防ぐサービスを提供したいと考えています。
たとえば、不正広告についていえば、我々は従来よりも膨大なデータをもとに判断を行っています。一つひとつの広告インプレッションに1000件以上ものデータ・フラグメント診断を行っています。これならボットが人間のふりをすることもできません。さらに、ブランドのセキュリティ確保については、当社独自のNLP(自然言語処理)エンジンにより、人間の目と同様の精度でリアルタイムにコンテンツを解読します。
―それが、競合他社にはない、御社の強みということでしょうか?
そうですね。やはり、MoatやIntegral Ad Scienceなどの老舗は強力な競合ですし、私も尊敬の念を抱いています。会社の規模としては当社よりも大きいですし、この分野の先駆者ですから。しかし、彼らは大企業になったがゆえに、すでにチャレンジャーやイノベーターではなくなりました。私は、自分たちがこの業界の第2世代だと思っているんです。
―第2世代ですか?
そうです。今や、安全性を脅かす敵も複雑化しており、最新のツールとテクノロジーがなければ対応できません。我々は、イノベーティブに、そして正確性を重視しながら、最新の敵と戦う最先端企業なのです。
―正確性ですか?
そうです。正確性がなければ問題を事前に検知、防止することはできません。起きてしまった問題を感知、検証するのではなく、トラブル発生そのものを抑制し、広告主が余分な広告料を支払ったり、トラブルに巻き込まれることを防がなければなりませんから。
日本市場で圧倒的シェアを目指す
―今現在、日本企業との取引などはあるのでしょうか?
もちろんです。東京にも当社のオフィスがあるくらいです。実は、私は、日本が大好きなんです。文化も、人も素晴らしいです。また、起業家としてもこの国に大きな可能性を感じています。最近ではオンライン広告の不正に関するテレビ番組が放映されるなど、日本でも「対岸の火事ではない」と関心が高まっています。今は電通やADKグループ、博報堂、大和ハウスなど、多くの企業とお仕事しています。
―そうなんですね。今後はどのように展開していくのでしょうか?
日本に関していえば、2019年末までにはすべてのプラットフォームとの統合を完了し、2020年には日本で圧倒的な市場シェアを目指したいですね。日本は我々にとって最も重要なマーケットです。将来的に、すべてのエージェンシーやすべてのパブリッシャーに当社のサービスを展開し、安全性確保に貢献したいと思っています。