他のオーディオプラットフォームと似て非なるAudius。他のサービスとの違いは、ブロックチェーン技術を利用していること。そして、プロトコル技術をオープンソースで公開すること。今回はポップアーティストでもあり同社CEOのRanidu Lankage氏に話を聞いた。

Ranidu Lankage
Audius
CEO
スリランカとインドでポップアーティスト・DJとしてプラチナを記録。ツアー公演も行い、SONYと契約していた。イェール大学に進学するため渡米。卒業後は、リーマン・ブラザーズに就職、その後Googleに7年勤める。ライブストリーミング配信プラットフォーム「twitch」(現在はAmazon.comが提供)の創設者であるJustin Kanと共に2015年にTheArtistUnionを設立。2018年にAudiusを共同設立しCEOに就任。

独立系アーティストをターゲットにした音楽配信ツール

―まずAudiusの事業について教えてください。

 Audiusの設立は2018年3月で、実際の開発が始まったのは同年の9月です。今はローンチに向けて準備を進めている段階で、近々ベータ版を配信する予定です。ベータ版は、私たちが選定したアーティスト限定で配信し、実際に自分のコンテンツを載せてもらいます。そして、彼らからのフィードバックを正規版の開発に活かしていきます。

 Audiusは、SoundCloudと同じく独立系アーティストをターゲットにした、同類の音楽配信ツールとしてスタートする予定です。ただし、ブロックチェーン技術を活用した分散型アーキテクチャ上に構築されるという面でSoundCloudとは違います。ブロックチェーン技術を使うことで分散型になる。つまり、一企業ではなくコミュニティがオーナーになるということです。それと同時に、作品の著作者が誰なのかといった情報が守られ、透明性も確保されます。

 当社のコアは、アーティストのエンパワーメントです。短期的な目標は、アーティストにAudiusを使って作品を配信してもらい、アーティストとユーザーが直接交流を持つこと。長期的には、アーティストが自分の作品をAudiusのプラットフォーム上で収益化でき、収益をリアルタイムで受け取ることができるようにすることが目標です。アーティストが直接収益を得ることができる仕組みはとても重要で、SoundCloudとは違う点だとも言えます。

 加えて、プロトコルをオープンソースで提供し、他のサービスプロバイダーやアプリ開発者がAudiusの技術を活用して新しいサービスを構築できるようにします。これも当社サービスのユニークな点です。そして、より広域に提供することを目指しています。

 アーティストとユーザーが直接交流を持つといいましたが、それだけではありません。プロトコルをオープンソースで提供することで、アーティストとユーザーに加え、開発者も直接参加するコミュニティの構築が可能となります。このコミュニティ内で流通するトークン(代用貨幣)をリリースし、三者間でトークンがやり取りされるようになること、これが当社の最終的なゴールです。

いよいよローンチ。世界中で使ってほしい

―海外戦略、特に日本への進出について聞かせてください。

 製品のローンチがまだですし、アーリーステージにあるため、具体的な話をするには時期尚早かもしれませんが、エンターテイメント業界に限らず様々な業界で、世界的に展開していける可能性があると考えています。最初は、オーディオプラットフォームとして音楽を始めとするエンターテインメント業界での展開を目指します。

 プロトコルのオープンソースを公開したら、その瞬間から世界規模での展開となります。利用に関して地理的な制限を設けるつもりはもちろんありません。日本の皆さんにもAudiusのプロトコル上にコンテンツを構築して使っていただければと思います。



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