※2020年4月に資金調達した、今ホットな米国スタートアップ Part 2では、リワードアプリ、ネットワーキングアナリティクスプラットフォーム、クラウドのバグ報奨金プログラム、データアクセスプラットフォームの米国スタートアップ4社を紹介しています。
子どもが効果的に学べるプログラミングロボットWonder Workshop
Image:Wonder Workshop
Wonder Workshopは、小学校年齢の子どもが遊びながらコーディングの基礎を学ぶのを助けるプログラミングロボット、“Dash”、“Dot”、“Cue”を開発している。
Co-founder & CEOのVikas Gupta氏は「21世紀の子どもは、iPadのようなテクノロジーに囲まれて育っています。私にも幼い娘がいますが、子どもがこうした製品をただ遊びに消費して終わるだけでなく、創造的な活動にも使うようになるために、親として起業家としてできることや、私たちの子どもに対するマインドセットを変える方法を考え、創業に至りました」と語る。
プログラミングロボットは現在、全米2万校を超える学校の教育カリキュラムにおいて、教材として取り入れられている。教師は数学や科学の授業でプログラミングロボットを使いながら効果的に教えることができ、子どもたちは同じ教室で思い思いのペースで効果的に学ぶことができる。
「私たちが作るのは、子ども・教師・学校のための21世紀に必要なスキルを効果的に学べるデジタルプラットフォームです」とGupta氏は語る。当面の目標は、全ての州、全ての学区、全ての学校で、子どもたちが利用できるようにしていくことだそうだ。プログラミングロボットは、公式HPやAmazonで販売されており、日本でも購入することが可能だ。
資金調達額:7940万USドル(2020年5月現在)
4月の資金調達額:250万USドル
4月の資金調達先:非公開
所在地: San Mateo, California
URL:https://www.makewonder.com/
Amazonで高評価の中小ブランドを買収し最適化するThrasio
Image:Thrasio
Thrasioは、Amazonのグローバルマーケットプレイスを活用して製品を販売するFBAビジネスを対象に、スピーディで効率的な買収手続きを行う。
Co-founder & CEOのJoshua Silberstein氏は「AmazonのFBAビジネスには中小規模事業者が多く、効率的でない市場です。こうした中小事業を適切に買収する機能を作り、ベストな運営プラットフォームまで作ろうと創業しました」と語る。
ビジネスモデルは、Amazonで他を牽引し、最高の商品を揃え、消費者に高く評価されており、流行トレンドやテクノロジーの変化によって劣化しないブランドを探して買収する。
Amazonに参入してきた事業を、Silberstein氏が「コンベヤーベルト」と呼ぶプロセスに載せ、事業のクリーンアップや統合を行う。45日間でデューデリジェンス、法的手続きといった買収プロセスの全てを完了させる。これにより数万ドル規模の小規模事業者を数百万ドル規模の大規模事業に化けさせることが可能だという。そのうえ、Silberstein氏によれば、「一度買収が済めば、起業家はまた新たなチャレンジを始めることができる」ということだ。
「日本のAmazonのマーケットも興味深いが、米国との言語や物流の仕組みの違いにより、運営のコストと難易度が高いです。そのハードルが下がれば」とSilberstein氏は語る。
当面は、今年末までに収益10億ドルを超えることが目標。長期的な目標は、ポートフォリオ全体を価値の高いものに調整していくこと、Eコマースで突出した存在となるビジネスを保有することだという。
資金調達額:2億6445万USドル(2020年5月現在)
4月の資金調達額:1億1000万USドル
4月の資金調達先:PEAK6 Investments, RiverPark Ventures, Upper90 Capital Management, Western Technology Investment
所在地:Walpole, Massachusetts
URL:https://www.thras.io/
モバイルファーストで店舗を全方位から管理し飲食業界をディスラプトするTabit
Image:Tabit
Tabitは、飲食店やホテルの予約、注文、デリバリーなどあらゆるサービスをタブレットで一元管理するクラウドベースのソフトウェアを提供し、飲食店の運営全般を手助けする。
Co-founder & PresidentのNadav Solomon氏は「飲食業界でそれまで誰もやっていなかった、飲食店の基本的なニーズやワークフロー、現状に即したニーズにフォーカスしたシステムを実現しようと創業しました」と語る。
ソフトウェアは、リアルタイムで全方位から飲食店の運営を管理することを可能にしている。モバイルファースト、シンプルさ、使いやすさにこだわった。使い方を覚えるのに5分もかからない。導入したクライアントは、売上アップ、回転率の向上、人件費の削減、正確な注文などで成果を上げている。
現在は米国とSolomon氏の出身国イスラエルを中心に展開しているが、日本市場への進出のためのパートナーシップも模索している。「日本で飲食店向けのPOSシステムを開発するハードウェアメーカーも、さらなる価値創出のために、当社のようなプラットフォームを必要としているようです」とSolomon氏は語る。
コロナウイルスが拡大し飲食業界が大打撃を受けている現状において、Solomon氏は「当社にとっては、今こそ新たなカルチャーや方法を編み出す機会です。飲食業界ではテクノロジーがより存在感を増していくと思います」と語る。そのうえ「日本の飲食市場にも成長の機会はある」とSolomon氏は考えている。
資金調達額:6000万USドル(2020年5月現在)
4月の資金調達額:1000万USドル
4月の資金調達先:Pitango Venture Capital
所在地:Aventura, Florida
URL:https://www.tabit.cloud/
スポーツテックでアスリートをエンパワーメントするTeamworks
Image:Teamworks
Teamworksは米国のスポーツ界で、NFL、NBA、MLBなどのプロリーグのチーム、大学チーム、ナショナルチームを対象に、アスリートのエンゲージメント向上を目的にしたソフトウェアを提供し、チームのカルチャー強化と結束向上につなげている。
自らデューク大学でアメリカンフットボールをプレイしていたCo-founder & CEOのZachary Maurides氏は「チームに関する全ての情報が集まるハブを作るというコンセプトで立ち上げました。アスリートと携わる関係者全員が同じ場でコミュニケーションをとり、アスリートをケアできるようにしようと考えました」と語る。チームの日々のワークアウト、メディカルケア、試合映像の分析、クラス分け、個人指導まで、全てを一元管理するソフトウェアだ。
日本でもラグビーのサンウルブズと提携している。「日本もエキサイティングな市場。ぜひ事業拡大したいと考えており、そのためにパートナーを組める企業を求めています。日本のアスリートが頂点に到達する手助けができたら」とMaurides氏は語る。
Maurides氏は、「スポーツはいつの時代も、社会をリードする役割を担ってきました。コロナパンデミックでスポーツ界も冷え込んだが、じきに勢いが戻ってくるはずです」と語る。長期的な目標は、エリートスポーツ組織を取り巻くインフラを革新し、アスリートが高性能なサービスを活用して、スポーツ組織の一層の効率的な運営と収益化につなげられるようにすることだという。
資金調達額:4858万USドル(2020年5月現在)
4月の資金調達額:2666万USドル
4月の資金調達先:General Catalyst, Delta-v Capital, Duke Management Company, etc.
所在地:Durham, North Carolina
URL:https://www.teamworks.com/
ソフトウェアで完全自動運転車の実現を目指すPhantom AI
Image:Phantom AI
Phantom AIは自動運転レベル2・3における自動運転車向けのサポートソフトウェアを開発している。同社はTeslaのオートパイロットチームで3年働いた経験のあるHyunggi Cho氏とUC バークレーで車両コントロールと車両運動力学で博士号を持つCK Lee氏によって設立されたスタートアップだ。
「私たちはカメラやセンサー等のハードウェアは開発していません。純粋なソフトウェア開発スタートアップです。我々のプロダクトは『PhantomVision』というビジョンソリューション、マルチカメラやレーダーセンサー、LiDARと融合する『PhantomFusion』、コントロールソリューションの『PhantomDrive』の3つです」とCho氏。
1つ目の「PhantomVision」はディープラーニングとコンピュータービジョンを基礎とした車両や通行人、信号等の検出をサポートするビジュアルパーセプションエンジンだ。2つ目の「PhantomFusion」は複数のセンサーやカメラを融合させることで物体のトラッキング可能にするシステムを提供している。3つ目の「PhantomDrive」は検出された物体の動きを予測することで安全で自然な車両の動きを実現する車両コントロールソリューションだ。彼らはこの3つのプロダクトで人々の道路の安全と運転の負担軽減を図っている。
Cho氏は顧客について「われわれはこれらのソリューションをソフトウェアライセンスモデルとして、ティア1サプライヤーや直接OEMに販売しています」と語る。
4月にはSeries Aの調達を果たし、プロダクトの検証や機能安全プロセス等の開発の推進と海外展開に向けた準備を始めるという。「中国、韓国、日本の市場はとても大きく、アジア市場は米国に次ぐ優先度の高い市場です。もちろんわれわれはシリコンバレーのスタートアップで米国のOEMと仕事をしています。しかし、海外展開ではヨーロッパよりも先にアジアへ展開するでしょう」とCho氏は語る。
長期的な目標としてはロボタクシーテクノロジーを掲げるPhantom AI。すでにリソースの20%から30%をレベル4の自動運転車への開発に割いており、プロトタイプも出来上がっているという。Chu氏は「私たちには完全な自動運転に向けては3つの目標があります。それはロボタクシー、自動運転トラック、自動運転シャトルです。学校のキャンパスや大手企業のオフィス等に自動運転シャトルオペレーションを提供できればと思っています」。
資金調達額:2692万USドル(2020年5月現在)
4月の資金調達額:2166万USドル
4月の資金調達先:Celeres Capital, DSC Investment, Ford, etc.
所在地:Burlingame, California
URL:https://phantom.ai/
※2020年4月に資金調達した、今ホットな米国スタートアップ Part 2では、リワードアプリ、ネットワーキングアナリティクスプラットフォーム、クラウドのバグ報奨金プログラム、データアクセスプラットフォームの米国スタートアップ4社を紹介しています。