Image: Anodot
Anodotは、インシデントや異常の早期検知、ビジネスメトリクスの管理、および、エコシステム全体を対象に複数パラメータの相関関係をリアルタイムで分析し、より速く問題の根本原因を理解する、機械学習を使った自律的なモニタリングシステムと予測分析サービスを提供している。今回はCo-founder & Chief Data ScientistのIra Cohen氏に話を聞いた。

問題の放置は、利益の放棄

―まずはご経歴と、Anodot設立の経緯を教えていただけますか。

 私はイリノイ大学でElectrical and Computer Engineering(電気工学・情報工学)の博士号を取得した後、カリフォルニア州パロアルトにあるHP Labsで働きました。その後、2010年にイスラエルに帰国し、HP Softwareのソフトウェア部門で、Chief Data Scientistとして機械学習チームを率いて、機械学習機能や製品を開発していました。

 2013年に、当時GetTaxi(現Gett)のCTOを務めていた、当社のもうひとりの創設者であり現CEOのDavid Drai氏と知り合いました。GetTaxiは現在もイスラエルと英国で、Uberのようなオンデマンドモビリティサービスを提供しています。当時Drai氏は、ビジネスをリアルタイムでモニタリングするソリューションを探していました。多くの企業は、ITインフラやアプリケーションのパフォーマンスをリアルタイムで監視し、様々なデータ収集しています。しかし、データを分析し実際に何が起きているのかをリアルタイムに理解する、KPIのリアルタイムモニタリングを可能にするソリューションがありませんでした。これは、GetTaxiだけの問題ではなく、多くの企業において解決する必要がある問題でした。

Ira Cohen
Anodot
Co-founder & Chief Data Scientist 
University of IllinoisにてElectrical and Computer Engineeringの修士号および博士号を取得。HP-Labs(米国)にてSenior Researcher/Technical Leadを務めた後、HP Software(イスラエル)にてChief Data Scientistを務めた。2014年に共同でAnodotを設立。
 例えば、ロンドンでGetTaxiのサービス利用数が減少し、そのデータをリアルタイムで収集していても、減少に気づくまで12時間、48時間、または1週間かかり、それから解決するのでは遅すぎます。問題を解決するまでビジネスの機会損失が続くのです。

 Drai氏は、ソリューションを探す中で、私と出会いました。私は機械学習を使い解決できる問題だと考え、実際にGetTaxiやその他の企業の問題を解決し立証しました。そして、同じ問題を抱える企業にソリューションをご提供するために、2014年にDrai氏と私でAnodotを設立しました。

規模、正確性、スピードにおいても群を抜く検知力と解決力

―具体的にはどういった問題を解決しているのでしょうか。

 現在は、電気通信事業者と、オンラインビジネス、e-コマース、FinTech、ゲーミングやAdTechなどの分野で、100社以上の顧客が当社のサービスを導入しています。PandoraやCredit Karmaなど、中規模から大規模な企業が主です。

 例えば、オンラインビジネスのように、動きが速いデータを大量に扱うSaaSビジネスでは、システムやアプリの不具合やインシデントが小さい内に素早く検知し対処する必要があります。顧客の中には、インシデントを放置することで1時間に1万ドルのコストがかかるところもあるため、解決までの時間が短いほど損失が減ります。当社のシステムは、誤検知率を最低限に抑えながら、自律的に数百万から数十億の非常に大規模なデータを正確かつ高速で処理しています。また、顧客から直接フィードバックを得ることで、システムの改善に繋げる機能も備えています。

 他には、収益やユーザ数、広告のクリック数や通話数などのビジネスメトリクスにおける閾値の推定およびリアルタイムモニタリングです。ビジネスメトリクスには、「この数値以上は良くて、それ以下は悪い」というような一般的な基準がありません。例えば、英国にあるiOSデバイスからアクセスしているユーザの値は何を示しているのかは、「学習」がなければ分析できませんし閾値も決められません。  

―競合他社にない御社のシステムの強みを教えてください。

 例えば、英国でiOSユーザの収益が落ちると、アラートを出し収益の低下を教える機能は他社システムにもありますが、当社のシステムは、なぜそうなったのか、エコシステム全体で相関する複数パラメータを理解することで、問題の根本原因を理解します。「収益の低下は、英国内のネットワーク障害が関係している」と言うように問題を把握できるモニタリングシステムです。このアルゴリズムの特許は当社が持っています。

ビジネスの綿密な監視と予測分析の必要性は高まっている

―新たに資金調達に成功されました。今後の製品計画をお話しいただけますか。

 今後も機能を拡張し、ビジネスの成長や需要の予測分析を含め、より多くのタスクに対応できるようにすることを目指します。そして、予測分析から自動的に問題を修正するところまでを可能としたいと考えています。また、ソリューションパッケージとしてサービスを一般化/パッケージ化することで、特定のユースケースのイベント単位でサービスをご提供できるよう、開発を進めています。

 今までもそうでしたが、特にCOVID-19時代では日々状況が変化するため、ビジネスを綿密に監視する必要があり、自律型モニタリングの必要性が増えています。当社のシステムはそれに応えるものです。



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