アメリカは「自由の国」と言われるだけあって様々な人種、価値観、思想があるため、多様なビジネスが生まれる。アメリカにはちょっと日本では考えられないビジネスもあることはたしかだ。今回、「The Silicon Valley Startups 100」ではスケールの大きいビジネスやアメリカでしかできないであろうビジネスを「マリファナ」「空飛ぶタクシー」「人工肉」「宇宙」の4つに分けて紹介する。

自由の国アメリカだからなのか。成長するマリファナ産業。

 日本で大麻は違法薬物として認識する人が大半を占めているだろう。まずアメリカでの現状について説明したい。

 アメリカで大麻は一般的にキャナビス(Cannabis)マリファナ(Marijuana)、ウィード(Weed)、ポット(Pot)などと呼ばれる。現在、34の州で医療用大麻の販売が認められ、首都ワシントンD.C.を含む10州では21歳以上への嗜好目的のマリファナの販売が合法化されている。2017年、MaristPollの調査によるとアメリカでは18歳以上の52%がこれまでに一度はマリファナを吸った経験があり、22%が今も使用を続けているという。アメリカ前大統領のバラク・オバマ氏も自身の著書内でマリファナを吸ったことがあると述べている。

 Whitney EconomicsとLeaflyの調査によると、アメリカでは2018年に合法大麻の売上は34%も上昇し全米で108億ドルに到達したという。またマリファナ産業でのフルタイムの雇用は2018年に全米で64,389件も増加し、カリフォルニア州ではマリファナに関わる職が1万件を超えている。

 日本では違法である大麻だが、アメリカではすでに産業として確立されている。これに伴い多くのスタートアップがマリファナ産業内では生まれている。

1. 自宅までマリファナを届けてくれる「Eaze」

Eazeはカリフォルニア州とオレゴン州でマリファナをオンラインで注文、自宅まで届けてくれるサービスを提供している。またCBDオイル(カンナビジオールオイル)という、麻から抽出されたオイルは現在ワシントンD.C.、その他42州にて配送されている。マリファナ製品は実際のフラワー(乾燥マリファナ)、ジョイント(タバコとマリファナを混合させ紙で巻いたもの)ペン(電子タバコ型吸引機)、チョコレートなど様々な種類を販売している。

設立年:2014年
Funding:5150万USドル(Series B)
URL:https://www.eaze.com/

2. マリファナビジネス専用のPOSシステムを提供する「Green Bits」

マリファナ関連ビジネス向けのPOSシステムの開発・提供しているGreen Bits。マリファナの売買は州で法律が設けられており、売買できる量やトランザクションの報告が義務付けられている。Green BitsのPOSシステムはすでにシステムに報告ツールや売買できる上限が設定されているため、自動的に報告書類や上限が超えそうな旨を知らせてくれる。

設立年:2014年
Funding:2000万USドル(Series A)
URL:https://www.greenbits.com/

3. マリファナ栽培・製造業を助ける「MJ Freeway」

MJ Freewayはマリファナ栽培業、プロダクト製造業をしている事業者向けのデータ分析、マーケティングプラットフォームを提供している。またソフトウェアだけでなく、マリファナ産業でビジネスを始めようとしている人や既存のビジネスパーソン向けのコンサルティングも行っている。

設立年:2010年
Funding:2100万USドル(Series C)
URL:https://mjfreeway.com/

4. マリファナのBtoBマーケット「LeafLink」

LeafLinkはマリファナを栽培・製品製造をしているブランドとリテーラーを繋ぐBtoBのマーケットプレイスを提供している。ブランドはLeafLinkを通して製品を販売することができ、リテーラーはわざわざメールや電話をしなくても様々なブランドから一回で製品の注文をすることができる。

今回はCEOに直接取材をして話を聞いた。

設立年:2015年
Funding:1400万USドル(Series A)
URL:https://leaflink.com/

はたしてハリウッド映画の世界が実現できるのか「空飛ぶタクシー」

 現在はUberやLyftなどのライドシェアといった新たな交通手段で移動は便利になり、Teslaなどは自動運転技術で運転する必要のない社会を実現しようと交通に革命を起こしている。

 いま新たにSF映画などでよく見られる、空を飛ぶ交通手段が開発されようとしている。「空飛ぶタクシー」と呼ばれる新たな交通手段は車による交通渋滞を避け、より高速な移動を可能にする。「空飛ぶタクシー」は小型飛行機・ドローンをベースにした交通手段であり、多くのスタートアップによって実現されようとしている。

1. 空飛ぶタクシーのパイオニア「Joby Aviation」

(2021年にIPO。2023年6月追記)
Toyota AI Venturesも投資するJoby Aviation。安全性、低騒音、複数の人間を早く運べる乗り物を開発することを目標とし、設立から10年の間にNASAと共同で研究・プロトタイプの製造をしてきた。2018年の資金調達を機に実用化へ向けてデザイン・開発を進めている。

設立年:2009年
Funding:1.31億USドル(Series B)
URL:http://www.jobyaviation.com/#

2. Google創業者が出資する「Kitty Hawk」

Googleの共同創業者であり、現AlphabetのCEO Larry PageがバックアップするKitty Hawk。規制がアメリカよりも厳しくないニュージーランドにて、すでにテスト飛行を行っている。同社は「Cora」と呼ばれるAir Taxiと「Flyer」と呼ばれる一人乗り専用の飛行物を開発している。

設立年:2015年
Funding:100万USドル(Grant)
URL:https://kittyhawk.aero/

「人工肉」・「宇宙」編はこちら



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