次世代型サイト内検索エンジン 「Algolia」
―まずAlgoliaの事業概要について教えてください。
Algoliaは、サイト内検索エンジンを最適化するソフトウェアをSaaSモデルで提供しています。現在、Medium社やTwitch社なども顧客としてこのソフトウェアを利用しています。このAPIをサービス内へ導入することで、従来のサイト内検索エンジンよりも効率的にユーザーのニーズに応えられるようになります。導入も簡単で、顧客の開発環境の違いにも柔軟に対応できる仕様となっています。アプリにも約一週間で実装することが可能です。
―GoogleやSwiftypeなどの競合他社と比較した際の差別化のポイントを教えてください。
GoogleやSwiftypeなどがサイト内検索エンジンをWebサービスへ提供しているのに対して、私たちはこれをモバイルアプリ向けに提供しています。
もう一つの差別化のポイントは、検索結果の種類と方法です。まず検索結果の種類ですが、このサイト内検索エンジンを使うことで一度に5種類以上のカテゴリで検索をかけることができます。たとえば、何か映画をAlgoliaを通じて検索するとしましょう。ユーザーは一度の検索でHP、カテゴリ、公開年、出演している俳優・女優などを知ることができるのです。
検索の方法に関しては、Googleなどは「全文検索」という方法を採用しています。これは打ち込んだキーワード全てから、一つの事柄を検索するやり方になります。一方、私たちは「インスタント検索」という手法を採用しています。これはキーワードを入力している最中でも、そこまで入力された文字から結果を予測してくれる方法です。インスタント検索の最大のメリットは、ユーザーが求める検索結果を見つけ出すまでのスピードだと思います。ユーザーは、キーワード1文字ごとに検索結果を予測し、複数の候補を表示してくれるので、すべてキーワードを打ち込む前に目当ての結果を見つけやすくなります。
50種類以上の言語に対応
―どのような言語に対応しているのですか。
現在、50を超える言語を使用することができます。もともと私たちは「検索にかけたキーワードをアルファベットに置き換えて識別する」というアルゴリズムを利用していました。そのため、アルファベットに置き換えられる言語であれば、どんな言語を使用していても簡単に対応することができたのです。しかし、中国語や日本語などのアジア圏の言語は、一つひとつの文字が意味を表している「表意文字」と呼ばれる文字体系のため、アルファベットへの置き換えが困難でした。ですから、私たちは言葉の形から意味を認識する「バイアグラムアプローチ」という自然言語処理の仕組みを、新たにこのシステムに追加して対応しています。
―料金体系を教えてください。
月額$49から$899の基本プランと年間契約式のエンタープライズプランの2つがあります。サイト内検索エンジンの処理するデータ量によって料金も上がる形式をとっており、基本プランにおさまらない場合はエンタープライズモデルをご利用して頂いています。
世界100ヵ国、2500社、8000アプリが利用
―主な顧客は誰になるのでしょうか?
現在は、Eコマース、メディア、SaaSの業種の企業がメインの顧客となっています。その中でもSaaSモデルのサービスを提供している企業との相性が一番良いですね。その理由としては、その他の業種よりもユーザーエクスペリエンスの最適化に比重を置いている企業が多いためです。
現在は、全世界100ヶ国以上に2500社以上の有料顧客を抱えていて、エンタープライズモデルの顧客が過半数を占めています。無料プランを利用している顧客を合わせると、8000以上のアプリケーションが私たちのAPIを利用していることになります。
―このサービスの使用事例を教えてください。
Eコマースの食品系サービスを提供する企業の事例をご紹介します。この企業は食べ物のレシピや得意料理のレビューを共有できるサービスをアプリで提供しています。この企業はAlgoliaを利用して、ユーザーの検索結果をコントロールしています。ユーザーが登録した情報や検索パターンに合わせて検索結果に表示される結果に優先順位をつけたのです。
たとえば、Strawberry Shakeのレシピを頻繁に検索しているユーザーがいたとしましょう。するとそのユーザーが何かを検索する際に「S」という文字を入力すると、その時点で必ず「Strawberry Shake」が検索結果の中に含まれるように設定するといったようにです。このように検索結果をよりユーザーの関心に合わせてカスタマイズすることで、ユーザーエクスペリエンスを高めようとしたわけです。
―読者の方へメッセージをお願いします。
私たちのテクノロジーは、市場をリードすることができる技術だと確信しています。そして、これからも様々サービスと連携して、ユーザーへより高い価値を提供できると信じています。すでに米国内の市場に留まらず、海外市場にも展開を開始していますし、日本市場への導入も視野に入れています。近い将来、日本市場へ本格参入できるのを心から楽しみにしています。