Image: FLX Bio
癌患者などの免疫システムが薬によってどう変化するかをビッグデータや機械学習を使って解析し、細胞内に働きかける薬を作るFLX Bio。医師で免疫学博士であるCEO、Brian Wong氏に話を聞いた。

Brian Wong
FLX Bio
CEO
医師、免疫学博士。バイオテクノロジー企業Five Prime Therapeuticsの研究部門などで働いた後、2015年にFLX Bioに参画。

ビッグデータを活用し、複雑な免疫システムを解析

―癌などの病気に対してどのようなアプローチをしているのでしょうか。

 炎症や癌患者向けの飲み薬を作っています。患者の中のターゲットを特定するのにユニークなアプローチをとっています。免疫システムは非常に複雑なので、ある病気に対する免疫システムがどうなっているのかを深く理解する必要があります。ビッグデータや機械学習を利用して、複雑性を減少させる解析を進めています。

―具体的にはどのようなデータを使っているのですか。

 CTスキャンで、腫瘍が大きくなっているか、小さくなっているかを見ます。腫瘍の中の免疫システムの反応の仕方を見て、薬が狙った効果をもたらしているかを調べます。こうしたデータをコンピュータサイエンスによって解析することで、同じ病気の患者数やバイオマーカーを割り出し、病気の状態を測って治癒に利用することもできます。

細胞の中にアプローチ

―他社と比べ、強みはどこにありますか。

 1つは、KEYTRUDAやOPDIVOといった抗がん剤は細胞の表面に働きかけますが、私たちのアプローチは口から摂取できるもので、より小さな分子を使っていて、細胞の中に働きかけることができます。副作用も防ぐことができ、効果的に安全に患者に治療を提供できます。

 もう1つはビッグデータです。機械学習によってその患者さんに薬が合うかどうかを割り出すことができます。データは私たち自身で集めることもありますし、学術的なグループや専門家と協力して得ているものもあります。

―Brianさんはどうしてこの会社に参画したのですか。

 私はもともと医師で、免疫学の博士号も持っています。薬学分野でずっと働いていましたが、FLXは非常にユニークな方法で免疫の反応の仕方にアプローチをしていて、潜在能力が高いと感じました。

 The Column GroupやGoogle Venturesといった投資家も魅力的で、科学的なアドバイザリーボードもこの領域のリーダーたちが集まっています。新しい治療法を開発する素晴らしいチャンスだと感じました。

アジア特有の癌にも効果的

―日本企業とのコラボレーションの可能性はありますか?

 私たちの薬は鼻咽頭癌や胃癌などアジア特有の癌にも効果的なので、日本や中国、他のアジアの企業とコラボレーションには強い関心を持っています。コラボレーションによって現地での開発を加速できますし、商業化のチャンスも広がります。規制環境に対応できる企業と組むことも考えていきたいと思います。



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