スタートアップ・エコシステム拠点形成に取り組む京都府と、一般社団法人 京都知恵産業創造の森、TECHBLITZが開催したオンラインイベント「スタートアップ・アライアンス・リンク」。第8回のテーマは「大学発ベンチャー」で、京都の研究機関から生まれた7社のスタートアップの代表らが登壇した。マイクロ波を活用したワイヤレス給電技術を開発するスタートアップや、魚の腸内細菌叢に着目したスタートアップなど各社の事業概要を紹介する。
<目次>
・1. マイクロ波を活用したワイヤレス給電技術
・2. 腸内細菌叢に着目した新たな魚の養殖
・3. 未来の食を考え、提案するスタートアップ
・4. レーザー加工技術で食品ロス削減に貢献
・5. 製造業・建設業向けのAIスタートアップ
・6. ググっても出てこない叡知を届ける
・7. 目に見えない本来の価値を「見える化」
マイクロ波を活用したワイヤレス給電技術


所在地 | 京都市西京区御陵大原1番36号 京大桂ベンチャープラザ北館 |
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創設年 | 2019年 |
URL | https://spacepowertech.com/ |
スペースパワーテクノロジーズは、マイクロ波を活用したワイヤレス給電技術(WPT)を開発する京都大学発のスタートアップ。マイクロ波の特徴を活かした長距離伝送が可能で、高出力化・高効率化を実現している。「Power Gate」は現在、国内で制度施行されている5.7GHz帯の送電・受電システムで、さらに将来の利用を目指して24GHz帯の開発を進めている。
応用分野は、「無人エリアでのIoTデバイスのワイヤレス化」から、「有人エリアでの日常的なワイヤレス給電インフラ構築」まで幅広い。宇宙利用も期待されており、将来の高集積化大規模化による宇宙太陽光発電システムの送電・受電システムへ適用、さらに月面での探査設備への送電などへの展開を目指している。
応用分野は、「無人エリアでのIoTデバイスのワイヤレス化」から、「有人エリアでの日常的なワイヤレス給電インフラ構築」まで幅広い。宇宙利用も期待されており、将来の高集積化大規模化による宇宙太陽光発電システムの送電・受電システムへ適用、さらに月面での探査設備への送電などへの展開を目指している。
image : Space Power Technologies HP
腸内細菌叢に着目した新たな魚の養殖


所在地 | 京都市西京区御陵大原1番36号 京大桂ベンチャープラザ北館 |
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創設年 | 2020年 |
URL | https://www.holo-bio.com/ |
ホロバイオは、養殖魚の腸内細菌叢(腸内フローラ)を最適化・機能化する技術の実用化を目指す京都大学発のスタートアップ。養殖魚に機能性腸内細菌株を添加した餌を与えることで、腸内細菌叢を改変することに成功した実績を持つ。
対象ごとに最適な機能性腸内最近カクテルを投与する「新規生物育種技術」は、成長促進だけでなく、遺伝子改変を行わずに肉食魚の草食化を実現できる点も大きな特徴。生産から出荷までを一括管理したブランド魚の開発を目指しており、サステナブルを文字った「サステナぶり」(登録商標)での実用化に着手している。
対象ごとに最適な機能性腸内最近カクテルを投与する「新規生物育種技術」は、成長促進だけでなく、遺伝子改変を行わずに肉食魚の草食化を実現できる点も大きな特徴。生産から出荷までを一括管理したブランド魚の開発を目指しており、サステナブルを文字った「サステナぶり」(登録商標)での実用化に着手している。
image : ホロバイオ HP
未来の食を考え、提案するスタートアップ


所在地 | 京都府相楽郡精華町大字北稲八間小字大路84番地 |
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創設年 | 2022年 |
URL | http://futurefood-rd-center.com/ |
未来食研究開発センターは、アグリシステムによる環境に負荷をかけない野菜、お米、新タンパク源昆虫食であるサステナブルフードの提供に挑む京都府立大学発のスタートアップ。
農薬や畜産由来肥料を使用せずに農地そのものの生産力を増加維持する農法である「環境保全型農業」の科学的分析、背丈が2センチほどの矮性イネ品種「京のゆめ」の栽培、昆虫を原料とした新しい食品開発などに取り組んでいる。
農薬や畜産由来肥料を使用せずに農地そのものの生産力を増加維持する農法である「環境保全型農業」の科学的分析、背丈が2センチほどの矮性イネ品種「京のゆめ」の栽培、昆虫を原料とした新しい食品開発などに取り組んでいる。
image : 未来食研究開発センター HP
レーザー加工技術で食品ロス削減に貢献


所在地 | 京都市下京区中堂寺粟田93 京都リサーチパーク スタジオ棟B101 |
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創設年 | 2023年 |
URL | https://lasercook.com/ |
レーザークックは、レーザー加工技術を食品産業に応用するスタートアップ。山形大学の古川英光教授の特許を活用し、高分子ゲルと光学技術を応用し食品を「印刷」することに成功した。
同社は、加熱調理する機能を備えた3Dプリンターを3種類取り揃えており、さらに調理メニュー開発や高速印刷技術といった食品の立体印刷に必要な技術を保有。こうした技術をベースに、未利用農水産物から製造した粉末食材を3Dプリントの材料として再利用することで、フードロスを削減するビジネスモデルの構築に取り組んでいる。
同社は、加熱調理する機能を備えた3Dプリンターを3種類取り揃えており、さらに調理メニュー開発や高速印刷技術といった食品の立体印刷に必要な技術を保有。こうした技術をベースに、未利用農水産物から製造した粉末食材を3Dプリントの材料として再利用することで、フードロスを削減するビジネスモデルの構築に取り組んでいる。
image : レーザークック HP
製造業・建設業向けのAIスタートアップ


所在地 | 京都市上京区甲斐守町97 西陣産業創造會館109 |
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創設年 | 2023年 |
URL | https://starup01.jp/ |
STAR UPは、京都大学や神戸大学の学生が中心となって立ち上げたAIスタートアップ。さまざまな現場に対するAIの受託開発を行う「STAR UP.AI」と、製造現場や建設現場で活用できる図面管理プロダクト「ArchAIve(アーカイブ)」を事業の柱としている。
アーカイブは、製造業や建設業の現場で図面にまつわる課題が数多く発生している点に着目。これまで雑多にフォルダにまとめられていた図面を案件ごとに柔軟に管理できる機能や、独自の画像解析アルゴリズムで人間の目では判別しにくい類似図面を検索できる機能、AIが図面を重ね合わせて細かい差分を見える化する機能などを搭載。「現場における技術伝承SaaS」を謳っている。
アーカイブは、製造業や建設業の現場で図面にまつわる課題が数多く発生している点に着目。これまで雑多にフォルダにまとめられていた図面を案件ごとに柔軟に管理できる機能や、独自の画像解析アルゴリズムで人間の目では判別しにくい類似図面を検索できる機能、AIが図面を重ね合わせて細かい差分を見える化する機能などを搭載。「現場における技術伝承SaaS」を謳っている。
image : STAR UP HP
ググっても出てこない叡知を届ける


所在地 | 京都市下京区七条通油小路東入大黒町227 第2キョートビル402 |
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創設年 | 2024年 |
URL | https://insight-torch.com/ |
InsightTorchは、AIエージェントによる産学連携の促進を目的に「産学連携窓口プラットフォーム」を開発するスタートアップ。「ググっても出てこないアカデミアの知を社会に届ける」というビジョンをベースにチームを立ち上げた。
退官研究者ネットワークの構築と仲介や、現役研究者の知性をデータベース化して、それらを必要とする企業に届けるサービスを構築中。産学連携における課題であるミスマッチの原因となっているコミュニケーションコストの高さ(無駄の多い問い合わせ対応)をAIを活用して解消することで、イノベーション機会の創出に貢献することを目指している。
退官研究者ネットワークの構築と仲介や、現役研究者の知性をデータベース化して、それらを必要とする企業に届けるサービスを構築中。産学連携における課題であるミスマッチの原因となっているコミュニケーションコストの高さ(無駄の多い問い合わせ対応)をAIを活用して解消することで、イノベーション機会の創出に貢献することを目指している。
image : InsightTorch HP
目に見えない本来の価値を「見える化」


所在地 | 京都府京都市左京区下鴨宮崎町119-1 |
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創設年 | 2022年 |
URL | https://dmlinc-projects.info/ |
DMLは、デザインマネジメントの研究機関である立命館大学DML(デザイン・マネジメント・ラボ)からスピンアウトしたコンサルティングファーム。ピッチでは「チームビルドを支援する生成AI人格形成システム」をテーマに、人事評価やチームビルディングに、個人の嗜好や価値観といった定性的な要素を取り入れる手法を提唱した。
同社のツール「ReP-EIT(リピート)」は、タスクやプロジェクトを設定した後に、プロジェクトの「人格」を可視化し、そこからメンバーを提案することで、メンバー編成をサポートする。これにより、経営層に「見える化」、中間管理職に「わかる化」、現場社員に「わかる化とできる化」をもたらすことで、これら3層のギャップを埋めることを実現するという。
同社のツール「ReP-EIT(リピート)」は、タスクやプロジェクトを設定した後に、プロジェクトの「人格」を可視化し、そこからメンバーを提案することで、メンバー編成をサポートする。これにより、経営層に「見える化」、中間管理職に「わかる化」、現場社員に「わかる化とできる化」をもたらすことで、これら3層のギャップを埋めることを実現するという。
image : DML HP