Image: Cardiogram
Cardiogramは、スマートウォッチ上で心拍数や歩数などのデータを測定・分析し、健康のための助言をするヘルスケアアプリで、200万人が利用する。今回はCo-founderのJohnson Hsieh氏に話を聞いた。

スマートウォッチを医療デバイスに

―事業内容について教えてください。

 Apple WatchやFitbitのようなウェアラブル端末を、記録される心拍数や歩数などのデータを分析することで、医療デバイスに変えることです。睡眠時無呼吸症、高血圧、心房細動、糖尿病の4種類を検知することができ、正確性は80%です。私達はカリフォルニア州立大学サンフランシスコ校で臨床研究も行っており、成果は権威ある医学雑誌JAMA Cardiologyに掲載されたり、米国心臓協会の学術集会で発表する機会を得ました。

Johnson Hsieh
Cardiogram
Co-founder
スタンフォード大学コンピュータサイエンス課程修了。Googleで8年間リードエンジニアとしてボイスアシスタント、ユーザー向けの機械学習などに携わった後、Cardiogramを設立。
 

機械学習のアルゴリズムで疾患リスクを測定

―具体的にどんなサービスでしょうか。

 誰もが心臓の健康をチェックできるモバイルアプリで、App StoreやGoogle Playで無料ダウンロードできます。毎日ウォッチを付けておけば、睡眠中も含め一日の心拍数の変化をチャートでチェックできます。もし心臓に関する症状を感じた時には、詳細をグラフで見ることができますし、「胸の痛みがする」「不安を感じる」といった注釈を記録することもできます。

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―どのようなビジネスモデルでしょうか。

 一つ目ですが、当社は保険会社と提携しており、ユーザーが何らかの病気と特定されたら、当社が保険会社に保険料を請求します。Cardiogramの機械学習を用いて4種類の疾患のどれかの特定を行います。これはユーザーに、正式な病気の診断を受けるように助言することを意味します。ユーザーが正式な診断を受けたら、当社が保険料を請求する、という流れです。

 二つ目ですが、Cardiogramは機械学習のアルゴリズムを通して、ユーザーに4種類の疾患にかかるリスクスコアを出します。このプログラムで提携するのは、主に従業員の健康への配慮に積極的な大企業で、これらは社内にクリニックを抱えています。当社のプログラムに同意したユーザーのリスクスコアが社内クリニックに提出され、ハイリスクとされたユーザーにはそこで診察を受ける、という流れです。これによって利用者は診断を受けるために一般病院で待たされる時間を節約できます。

 三つ目は、ユーザー向けの月間4ドルまたは年間25ドルのサブスクリプション制です。有料の機能には、データを家族や医師に共有する機能もあり、医師にデータを共有すれば診断の手がかりになるということです。他にも心拍数アラート機能もあり、これは心拍数が一定の閾値を超えたり下回ったりしたらアラートを出します。

健康の民主化と大衆化

―今後のビジョンを教えてもらえますか。

 1年間でユーザー数とプレミア収入を大幅に増やすことです。現在ユーザー数は200万人ですが、これを800万人に増やせると考えています。

 私は、健康の民主化と大衆化を真剣に考えています。一層ユーザーが健康を管理できるようになることを目指しています。ユーザーへの啓発やさらに多くのデータ提供を行うことで、それができると考えています。

 現在、日本でパートナーシップを組んでいる企業はありませんが、日本でも保険会社や従業員の健康に熱心な企業と組む機会はきっとあると考えています。

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