Sandbox VRは、VRゲーム開発とその体験施設を展開するスタートアップだ。今回は、自身もゲーム開発者であるFounder & CEOのSteven Zhao氏に起業の経緯やサービスの特徴などについて聞いた。

没入感のあるVR体験を作る

―まず、Sandbox VRを始めたきっかけを教えてください。

 わたしの専門は電気工学です。14歳の頃からゲームを作り始め、ずっとゲームに魅了されてきました。私は、ゲームが人々に非現実体験を与えられることに魅力を感じています。

 Sandbox VRを設立する以前はBlue Tea Gamesという会社を経営していました。PCやモバイル用のゲームを開発していましたが、ゲーム内とのインタラクションはどうしても小さな携帯やPCのスクリーン経由になります。これを私はゲームとプレイヤーの隔たりだと感じました。しかしVRを利用すればゲームの中に入り込むことができます。

 Sandboxは単なるVRではありません。なぜなら通常のVRヘッドセットではコンピューターにつながれ、スペースや身体の動きも制約されるからです。

 Sandbox VRの「VRを変えるべきだ」という命題もここから来ています。そして全身を包み込む没入感のある体験を作り出すSandbox VRを設立しました。

Steven Zhao
Sandbox VR
Founder & CEO
14歳でゲームを作り始め、University of California San Diegoで電気工学を学ぶ。2003年にBlue Tea Gamesを立ち上げる。2016年にSandbox VRを設立、CEOに就任。
 

―Sandbox VRのプロダクトについて教えてもらえますか。

 我々が提供しているのはBtoCビジネスです。消費者は我々のゲームを体験することができます。我々はゲームを「体験」と呼んでいます。

 お化け屋敷の中にいる体験から宇宙船のクルー、スタートレックの世界や物理的に戦闘が可能なアリーナまで。私たちは様々な体験を提供しています。消費者がなりたい人になって、行きたいところに行けるよう、様々な世界を作っています。

ARゲームのプラットフォーマー目指す

―ゲームは全て社内で開発しているのですか?現在のビジネスモデルを教えてください。

 現在は、社内でゲームを開発しています。しかし将来的には我々がパブリッシング・エコシステムになると考えており、開発者に弊社プラットフォームでコンテンツを作ってもらうことが目標です。

 ビジネスモデルとしてはポップアップストア(期間限定の店舗)を開設し、チケット販売から収益を得ています。

―Sandbox VRの強みや、他のVR企業と違う点は何ですか?

 我々は既存のVR体験とは全く違うと考えています。現在、VRアーケードはたくさんありますが、提供しているVRヘッドセットは自宅でも利用できるものです。我々が提供しているVRはより「遊ぶ」ことに特化しています。

 また、より広いエリアで自由に動き回る体験を提供しています。プレイヤーはただのLaser Tag(レイザーを利用したサバイバルゲーム)を体験しているというより、プレイヤーが映画の世界にいるような体験をすることができます。

 他のタイプには、アミューズメントパークのようなものがあります。大体10〜15分間の体験で、4Dエフェクトが仕掛けられています。ゲームの世界に入り込むと炎がプレイヤーに向かってくるなどの体験ができます。

 Sandbox VRは、あらゆるものがソーシャルを意識して構築されています。友達の肩にネズミが飛び乗ったら、友達の方に向かって銃を撃って、ネズミを撃退します。このようなソーシャルにプレイするという要素を作り上げることを目指しています。

Image: Sandbox VR

―将来的なビジョンを教えてください。

 中期目標は、コンテンツを継続的に作り多様化させること、そして施設数の拡大です。自社での開設や、フランチャイズパートナーと開設しているものがあります。

 そしてテクノロジーの改善を続けることです。体験のあらゆる側面を向上させるために、テクノロジーが大きな役割を果たします。

 現在、ポップアップストアは9ヶ所あり、香港、シンガポール、マカオ、シカゴ、バンクーバーに展開しています。店舗が数百カ所に増えることで、体験は店舗内だけに留まらなくなり、ディストリビューションポイントになると考えています。店舗体験の後には同じゲームを携帯やPCでプレイし、その続きをまた店舗で体験することを可能にします。アバターの購入やキャラクターが操る武器の購入などです。これが長期的な目標です。

―日本市場に参入するとしたら、どのようなビジネスパートナーや支援を期待しますか。

 私たちは、すべての場所を自社で作れるわけではないことを理解しています。私たちのプロジェクトの支援に関心のあるフランチャイズパートナーを求めています。



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