企業同士の資料共有プラットフォームのDocSend。オンライン署名やリンク送付後の閲覧状況などを分析できる機能もあり、今や9000社が利用するツールとなっている。CEOのRuss Heddleston氏に問題意識や起業の経緯を聞いた。

(2021年にDropboxが買収。2023年6月追記)

Russ Heddleston
DocSend
Co-founder & CEO
2006年にスタンフォード大学卒、コンピュータサイエンスで修士号取得。MicrosoftやDropboxでインターンをしたのち、最初の起業をした。2011年にハーバードビジネススクールでMBA取得。Facebookでプロダクトマネージャーを務めたのち、2013年にDocSendを設立しCEOに就任。

誰がどこまで読んだのかも分析可能

―どのような問題を解決しようとしていますか。

 メールに様々な資料を添付するのは手間がかかります。Outlookはストレージに上限があって、添付のデータであふれかえってしまわないように過去のメールを消して回る必要がありますよね。送られてきたパワーポイントファイルを開けたらフォントが変わってしまったことはありませんか? GoogleDriveやMicrosoftOffice365といったツールもありますが、アカウントを作らないといけません。こうした様々な問題がもたらすストレスを解決したかったのです。

―DocSendでは具体的にどのようなことが可能なのですか。

 資料を送るだけではなく、たとえば送った後に何人くらい、どのページまで閲覧されているか、転送を許可する場合どれくらい転送されたかなどが分析できます。どこまでリンクを共有するかも選択することができ、常に内容をアップデートすることもできます。

 それから、オンライン署名の分野でもワンクリックでNDAが結べるなど非常に便利になっています。契約を結ぶためのディールマネジメントのプラットフォームという形で使ってくれている企業も多いです。資金調達やセールス、様々な分野で、Fortune500の大企業からスタートアップまで幅広い顧客層がいます。

Dropboxでのインターンシップがきっかけ

―どのような経緯で起業したのですか。

 大学院卒業後に、当時まだ15人程度しか社員がいなかったDropboxでインターンをしました。Dropboxはメール添付の問題に取り組んでいて、とてもいい解決策を作っていると思いました。彼らはリンクを送るモデルもはじめていて、これでもう企業は逐一資料をメールに添付しなくても済むなと思っていたのです。

 ところが、後にFacebookに勤めて辞めたころに、いまだに多くの企業がメール添付をしていることに気が付きました。それでスタンフォード時代から共に過ごしてきたDaveとTony、つまり現在の共同創業者の二人に、話を持ち掛けたのです。彼らと一緒に企業をインタビューしてまわったところ、なぜメール添付をするかというとそのほうが簡単だからという答えが返ってくるのです。そこで、もっと簡単にリンクを送れるサービスを作ろうとDocSendを作りました。

日本市場にも関心

―日本市場に関心はありますか?

 日本では、企業によっては資料添付を禁止するようなルールがありますよね。ですので、大変関心があります。まさに日本市場にどのようにアプローチすべきかを考えているところです。付加価値をつけて再販売をしてくれる企業があれば、パートナーシップをぜひ組みたいと思います。



RELATED ARTICLES
ノーベル賞技術を商用化、量子もつれ技術で「盗聴不可能な暗号鍵」を提供するZerothird
ノーベル賞技術を商用化、量子もつれ技術で「盗聴不可能な暗号鍵」を提供するZerothird
ノーベル賞技術を商用化、量子もつれ技術で「盗聴不可能な暗号鍵」を提供するZerothirdの詳細を見る
AI検索でメディアの広告収入が激減 「人間の代わりにAIが記事を読む時代」と闘うTollBit
AI検索でメディアの広告収入が激減 「人間の代わりにAIが記事を読む時代」と闘うTollBit
AI検索でメディアの広告収入が激減 「人間の代わりにAIが記事を読む時代」と闘うTollBitの詳細を見る
スペイン語圏で若者のトレンドに まるで友達のようなAI会話型アプリ Luzia
スペイン語圏で若者のトレンドに まるで友達のようなAI会話型アプリ Luzia
スペイン語圏で若者のトレンドに まるで友達のようなAI会話型アプリ Luziaの詳細を見る
スマホ撮影のスポーツ映像をAI解析 手作業依存だったスタッツ市場を変革するSportsVisio
スマホ撮影のスポーツ映像をAI解析 手作業依存だったスタッツ市場を変革するSportsVisio
スマホ撮影のスポーツ映像をAI解析 手作業依存だったスタッツ市場を変革するSportsVisioの詳細を見る
購買交渉にゼロサム思考はいらない!ウォルマートも導入するAI交渉エージェント Pactum
購買交渉にゼロサム思考はいらない!ウォルマートも導入するAI交渉エージェント Pactum
購買交渉にゼロサム思考はいらない!ウォルマートも導入するAI交渉エージェント Pactumの詳細を見る
「農業インフラ」のミツバチを絶滅から救え!解約数ゼロ件のロボット養蜂箱を展開するBeewise
「農業インフラ」のミツバチを絶滅から救え!解約数ゼロ件のロボット養蜂箱を展開するBeewise
「農業インフラ」のミツバチを絶滅から救え!解約数ゼロ件のロボット養蜂箱を展開するBeewiseの詳細を見る

NEWSLETTER

TECHBLITZの情報を逃さずチェック!
ニュースレター登録で
「イノベーション創出のための本質的思考・戦略論・実践論」
を今すぐ入手!

Follow

探すのは、
日本のスタートアップだけじゃない
成長産業に特化した調査プラットフォーム
BLITZ Portal

Copyright © 2025 Ishin Co., Ltd. All Rights Reserved.