Image: 360Learning
新卒・中途採用に関わらず新しい職場で1番最初に行われるのが研修。人材育成の中核を成し、ユニークな研修制度を導入している企業も増えてきた。一方で、企業内研修を作成する側は自社教材がないゆえ、丸々外注してしまう場合も多い。今回の記事では、企業が研修を組む際に、社内のエキスパートを巻き込んでコラボレーションを実現できるプラットフォーム360Learningの創業者でCEOのNick Hernandez氏に話を聞いた。

企業内研修をよりインタラクティブにし、質の高い学びを提供

――まずサービスの概要を教えてもらえますか。

 360Learningでは、LMS(Learning management system:学習管理システム)を提供しています。世界数ヵ国で展開しており、社員は300人程度。2014年に立ち上げ、パリとニューヨークに本部を置いています。コラボレーションを可能にし、LMSに新風をもたらすような画期的なプラットフォームです。

Nick Hernandez
360Learning
CEO
エコール・ポリテクニークより情報科学の修士号、トゥールーズ大学より哲学の修士学を持つ。キャリアの大部分をシリアルインベスターとして様々なテック系のスタートアップに出資した実績を持つ。2014年に360Learningを立ち上げる。

 私たちのプラットフォームでは、採用研修や、営業研修など会社内で行われる研修をよりインタラクティブにすることで差別化を図っています。

 通常、研修を受けるとなると、オンラインのプラットフォームに登録し、誰が録画したかも分からないような動画を見させられ、非常にトップダウン形式の学び方が主流となっています。

 また、研修が終わったのか、どの程度修了しているのか、自分のチームの誰が同じ研修を受けたのか等把握しづらい点もあります。私たちはこのような問題を変えようとしています。

Image: 360Learning

――起業のきっかけは何ですか。

 私の生い立ちに由来するのですが、私の両親は優秀な成績が認められ南米からフランスに移住してきました。そして父と母は、海外学生向けの寮で知り合いました。私も生まれた最初の年は学生寮で育ちました。私の両親は、学業に非常に重きを置いており、私も学ぶことの大切さを教わりながら育てられました。

 自身が学生になり、大学でコンピュータサイエンスを学んでいた際、他の大学でリモートで哲学も専攻しました。学士号に加えて修士号もとったのですが、その時代は卒業論文を郵送する必要がありました。FacebookやLinkedInといったものもなく、1つの学科を終了するのに非常な労力が必要でした。

 そこで私は、どうにかこの過程を効率化できないかと考え、リモートでも勉強できるような環境を立ち上げたいと思うようになったのです。

大退職時代に退職されないために社員に交流できる学びの場を

――このようなサービスのニーズがある背景はどんな点でしょうか。

 GoogleやSpotify、Costcoといった企業では、会社内で製品に関しての知識が豊富な人材がいて、その人材が企業外でも自身の経験をシェアできるような環境を整えています。そうやって大手企業は才能のある人材を集めているのです。雇用する企業中心ではなく、その企業を形成する人材が大切です。

 会社は新たな製品やサービスを生み出すために経験豊富な人材を雇用する必要に迫られています。一方、アメリカは現在「大退職時代」と呼ばれる時期に突入しており、大量に人が仕事を辞めていっているのです。

 面白いことに、この間「私は他の人から学ぶためにこの会社に入った」という趣旨のマクドナルドの広告を見かけました。「ハンバーガーを買ってください」というような製品を宣伝する広告ではないのです。

 そこで、私たちは企業が採用した人材をしっかり研修できるよう、学びを促進させるツールを提供しているのです。

――競合他社と比べてどのような点で優れていますか。

 私たちのプラットフォームは、研修を提供するという意味では、市場の他の競合他社と変わらない機能を備えています。

 しかし、唯一異なる点は、社内のエキスパートが人事と共同で研修のコースを作成できる点です。通常、人々は研修の作り方までは知りません。私たちのプラットフォームは、研修内容を簡単に作ることを可能にし、社内の人材のコラボレーションを可能にします。これがユニークな点です。

 LinkedInラーニング、Coursera等とも提携しており、カスタムカリキュラムを構成することも可能です。

社内のエキスパートが人事と共同で研修のコースを作成できる Image: 360Learning

リモートラーニングの普及で成長中。200億円の資金調達を実現

――大型の資金調達を実施しました。調達した資金の使い道はどのように考えていますか?

 国際展開に資金を投入する予定です。まずは南アメリカ、その後ヨーロッパの全地域、そして米国。ちなみに、私たちのプラットフォームは既に日本語でも利用可能です。日本にはすぐにとはいきませんが、いつか必ずチームを置きたいと思います。

――起業から現在までの道のりはどうでしたか。今後の目標は何でしょうか。

 困難もありましたが、楽しかったですね。私は自分のしていることが大好きです。成長するにつれて、異なる種類の課題が出てきますが、そこに学びがあります。

 私たちは多額の資金を調達することに成功しました。今が一番先が楽しみな時期です。顧客からのサービスへの需要も多く、事業を広げる条件も整っています。完璧な状況だと思っています。

 どの企業も考えることですが、より早い速度での成長が必要だと考えています。コラボレーションラーニングにはポテンシャルも多く、今の業界は変える必要があります。今の時代、物事が変わるスピードは凄まじく速いので、採用する人もすぐに研修をしなくてはいけません。また、採用した人材に社内で残ってもらうには、企業側も努力を重ねなくてはいけません。従って、チャンスを探している企業全てに自社プラットフォームを提供できることが長期的な目標です。



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