Image: BOY ANTHONY / Shutterstock
地球温暖化、気候変動への対応として、二酸化炭素(CO2)の排出削減や、電動化、蓄電、エネルギーの効率利用など、Climate Tech領域の世界的トレンドとスタートアップ投資はますます加速している。脱炭素社会の実現に向け、国内外の脱炭素テクノロジー(ZET:Zero Emission Technology)関連スタートアップとの協業などをテーマに、3月に開催した「ZET New Japan Summit 2023 Kyoto」には、国内・海外のスタートアップ40社が登壇した。各社の事業概要を紹介する。日本スタートアップ第2回は、京都フュージョニアリング、ユビ電、CONNEXX SYSTEMS、アークエルテクノロジーズの4社。

【京都フュージョニアリング】京都発の核融合炉技術

Image: 京都フュージョニアリング HP

設立年:2019年
URL:https://kyotofusioneering.com/

 京都フュージョニアリング(本社:東京都、英語表記:Kyoto Fusioneering Ltd.)は、核融合炉関連技術、装置の研究開発に特化した京都大学発のスタートアップ。「究極的なエネルギーソリューション『核融合』によって地球の課題を解決し、人類に新たな未来をもたらす」をビジョンに掲げ、核融合発電の実現によって、エネルギー安定供給の常態化と、世界中の誰もが自由にエネルギーを享受できる社会の実現に向けて研究開発に取り組んでいる。

 核融合とは、水素などの原子核同士が衝突・融合する際に重い原子核ができ、非常に大きなエネルギーが生まれる反応を指す。太陽をはじめとする宇宙の星々が生み出すエネルギーの源であるため、核融合の研究は「地上に太陽をつくる」挑戦とも言われている。

 核融合エネルギーは「資源が海水中に豊富にある」「CO2を排出しない」といった特徴があり、核融合が地球上で実現すれば、エネルギー問題と環境問題の同時解決につながると期待されている。

 京都フュージョニアリングは2019年10月、核融合を行う世界中の民間企業や研究機関などに対し、革新的で高性能な工学的ソリューションを提供していくというビジネスモデルで創業。核融合モジュールを生み出すファブレスであるとともに、核融合炉全体の視点からキーコンポーネントのエンジニアリングも行う。

 核融合関連のスタートアップは近年、世界的に次々と設立されている。多くの企業が核融合熱の生み出しに注力するところが多いのに対し、京都フュージョニアリングは核融合熱の取り出し(炉心要素技術)・核融合炉のプラントエンジニアリングと基幹装置の販売に注力している点で優位性を高めている。

【ユビ電】電気を使いたい人と、電気を使わせてあげる人をつなぐIoT充電サービス

Image: ユビ電 HP

設立年:2019年
URL:https://www.ubiden.com/

 ユビ電(本社:東京都、英語表記:Ubiden, Inc.)は、「電気を使いたい人と、電気を使わせてあげる人をつなぐIoT充電サービス」を展開するスタートアップ。マンションや勤務先、ホテルなど、これまで充電スポットの設置が難しかった場所に対して、電気自動車用の充電スポットの設置や運用をサポートする。法人・自治体向けにも展開し、EV充電設備の運用管理機能を標準提供している。

 同社の電気自動車充電サービス「WeCharge」は、すべての電気自動車(BEV)・プラグインハイブリッド車(PHEV)に対応した充電サービス。スマホがあれば利用の手続きから充電、料金精算までWeChargeアプリで完結できる。アプリで手軽に充電場所を探すこともできる。

 自宅マンション以外でも、旅行先のホテルや商業施設などでWeChargeのあるところなら、自宅のコンセントを利用するようにどこでも充電ができることが特長としている。

 2021年6月に正式にサービスの提供を開始し、分譲マンション・賃貸住宅を中心に、ホテル、コインパーキング等、導入施設が広がっている。2023年3月からは、ENEOSホールディングス、ハッチ・ワークと協業して、グランドプリンスホテル新⾼輪国際館パミールの⽉極駐⾞場にてEV充電サービス付き⽉極駐⾞場の運営実証を開始した。

 また、2024年から急速充電サービスを開始し、2025年までに全国20カ所、2027年までには100カ所の急速充電スポットを展開する計画を発表した。高速道路のサービスエリアやパーキングエリア、道の駅などEV利用者が多いスポットを中心に、急速充電スポットを設置していくほか、急速充電に適した料金プランを策定する。

【CONNEXX SYSTEMS】エネルギーの自由自立のための蓄電インフラを

Image: CONNEXX SYSTEMS HP

設立年:2011年
URL:https://www.connexxsys.com/

 CONNEXX SYSTEMS(本社:京都府、英語表記:CONNEXX SYSTEMS Corporation)は、次世代型蓄電システムの開発・製造・販売・企画・設計、システム・インテグレーションを展開している。蓄電池の開発においてユニークなパイプラインを持つ点を強みとしている。

 現在、業務用、産業用に特化した定置型蓄電システム製品を展開しつつ、種類の異なる複数の二次電池を一体化するハイブリッド蓄電技術「BIND Battery®」や、産業用ハイパワーリチウムイオン電池「HYPER Battery™」、鉄の酸化還元反応を用いた超高エネルギー密度型革新電池「SHUTTLE Battery™」など、未来のエネルギーシステムを見据えた革新的な蓄電技術の開発に取り組んでいる。

 EVの普及により、使用済み車載電池の処理が世界的な課題となっている中、同社は中古車載リチウムイオン電池をBIND Battery®技術によって産業用蓄電システムとして二次利用する循環に取り組んでいる。中古のEVバッテリーをリビルドすることなく、安全・リーズナブルに高電圧環境下での二次利用を可能とすることで、ストレージパリティ(蓄電池を導入しないよりも蓄電池を導入した方が経済的メリットのある状態)の達成を目指している。

 同社が描く未来のエネルギーシステム「Power Net」は、社会に分散する様々な蓄電池を統一的なネットワーク・アーキテクチャで結ぶことで、一つの大きなエネルギー・ソースとして利用するもの。電気エネルギーの効率的な利用を促し、供給を安定化するだけでなく、災害などにも揺るがないレジリエントな社会の礎となることを目指す。

【アークエルテクノロジーズ】デジタルイノベーションで脱炭素化社会を実現する

Image: アークエルテクノロジーズ HP

設立年:2018年
URL:https://aakel.co.jp/

 アークエルテクノロジーズ(本社:福岡県、英語表記:Aakel Technologies Inc.)は、脱炭素化プラットフォームサービス事業​、新電力事業、DXコンサルティング事業を手掛けるスタートアップ。​​再生可能エネルギーが大量導入できる、新しいエネルギーアーキテクチャの構築に向け、セクターカップリングというコンセプトに着目し、AAKELカーボンニュートラルプラットフォームの構築に取り組んでいる。

 同社は「デジタルイノベーションで脱炭素化社会を実現する」をミッションに、環境にやさしいクリーンな電気を提供する「Natur energy」の運営や、EV充電マネジメントシステム、エネルギーマネジメントシステム(EMS)、カーボンニュートラルシミュレーターのサービスを展開している。

 また、DXの企画から導入・運用まで支援、新サービスに向けたPoCの実施などを行う人材研修やコンサルティングサービスを展開することで、地域の持続的な発展への寄与にも取り組んでいる。

 2023年3月には、新サービスとして、AIによる遠隔制御可能な最適充電と運行管理を一括自動化する「AAKEL eFleet(アークエル イーフリート)」製品版をローンチした。P2MのEV充電マネジメントシステムとして、ガソリン車も含め、車両の状態を把握しながら配車・充電に関するスケジューリングや、車両指示を実施できる。

 P2GのEMSとして、東京大学先端研と進める社会連携研究部門「次世代エネルギーシステムの開発」においては、グリーン水素の長期貯蔵利用とリチウムイオン電池利用の最適化アルゴリズムを研究している。



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