※TECHBLITZでは、次世代半導体関連の国内外のスタートアップを独自に調査。記事後半では、中でも注目の5社を紹介します。
<目次>
・AI・パワー半導体の主要トレンド
・韓国のRebellions.aiがユニコーンに
・光I/O技術のAyar Labsもユニコーンに
・TECHBLITZが選ぶ、次世代半導体関連スタートアップ5選
AI・パワー半導体の主要トレンド
GPUなどAIチップを搭載したAIサーバーの市場は、2037年まで年平均成長率(CAGR)18.7%で拡大し、4,216億ドルに達すると予測されている。主流になりつつあるのは、機能ごとの複数のチップに分割し、最適な組み合わせでパッケージ化するチップレット設計だ。韓国のスタートアップ、RebellionsはHBM3eを統合し、NVIDIAはBlackwellアーキテクチャを推進している。
パワー半導体では、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)に加え、酸化ガリウム(Ga₂O₃)が有望視されている。EV充電器や再生可能エネルギーシステムの需要増加が技術革新を加速しており、各国政府も支援を強化。韓国は2030年までに国内AIチップ市場の80%を自国企業で占めることを目指し、米国エネルギー省(DOE)は光I/O技術への投資を進めている。
韓国のRebellions.aiがユニコーンに
韓国のAIチップスタートアップであるRebellionsは、2024年1月にシリーズBで1億2400万ドルを調達。累計資金調達額は2億ドルを超え、企業評価額は6億5800万ドルに達した。同社はサムスン電子と戦略的パートナーシップを結び、大規模言語モデル向けの「Rebel」AIチップを共同開発しており、2025年に生産予定だ。現在、データセンター向けの推論チップ「Atom」は、サムスンの5nmプロセスで製造されている。
2024年8月にはSKテレコムの子会社であるSapeon Koreaと合併し、韓国初のAIチップユニコーン企業となった。また、日本市場への展開を図るため、日本法人も設立している。
光I/O技術のAyar Labsもユニコーンに
米国のスタートアップ、Ayar Labsは2024年12月にシリーズDで1億5500万ドルを調達し、企業評価額は10億ドルを超えた。これにより、累計資金調達額は3億7000万ドルに達している。
同社は光インターコネクト技術を開発しており、従来の電気信号の限界を超えるソリューションを提供。データ転送速度を5~10倍向上させ、エネルギー効率を4~8倍改善することが期待されている。業界大手との協業も進めており、富士通と共同で16Tbpsの光伝送モジュールを開発し、HPEと次世代AIサーバー技術の提供で提携している。
TECHBLITZが選ぶ、次世代半導体関連スタートアップ5選
半導体分野では、このほかにも革新的技術を持つスタートアップが台頭している。
Falcommは、理論的限界を超えるシリコンベースのパワーアンプチップを開発。CrayoNanoは深紫外LED技術を活用し、水浄化市場への参入を進め、環境問題への対応を図っている。
一方、Kubos Semiconductorsは低コストのGaN-on-Si技術を開発し、従来の照明市場の変革を狙っている。これらの進展は、AIやデータセンターにとどまらず、通信、環境技術、省エネルギー照明といった幅広い分野に次世代半導体技術が活用される可能性を示している。TECHBLITZ編集部が選ぶ、次世代半導体関連のスタートアップ5社の一覧はこちら。
1. Rebellions.ai

設立年 | 2020年 |
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所在地 | 大韓民国 (韓国) ソウル |
2. Ayar Labs

設立年 | 2015年 |
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所在地 | 米国 カリフォルニア州 エメリービル |
3. Falcomm

設立年 | 2021年 |
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所在地 | 米国 ジョージア州 アトランタ |
4. CrayoNano

設立年 | 2012年 |
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所在地 | ノルウェー トロンヘイム |
5. Kubos Semiconductors

設立年 | 2017年 |
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所在地 | イギリス ケンブリッジ |