目次
・AI焙煎がコーヒー業界のトレンドに?
・「ビーンレスコーヒー」や「細胞培養コーヒー」
・TECHBLITZが選ぶ、コーヒー関連のスタートアップ5選
AI焙煎がコーヒー業界のトレンドに?
AI技術の進展は、コーヒー業界にもさまざまな影響を及ぼしている。とりわけ、職人の技術や個性に大きく依存していた焙煎プロセスや、豆の品質管理にAIを取り入れる流れが生まれている。
AIや機械学習を活用したいわゆる「AI焙煎」は、焙煎中の豆の状態をリアルタイムでモニタリングしたり、焙煎温度の精密制御などを自動で行う。これによって「職人の技」に頼らなくても、狙った香りを的確に引き出し、一貫した高クオリティの焙煎を行えるのが利点だ。
コーヒー業界向けソフトウェアを開発するオーストラリアのクロップスター(Cropster)のプラットフォームは、IoT化されたコーヒーマシンなどからデータを収集。機械学習のアルゴリズムによって過去の焙煎データを学び、クオリティの改善につなげているほか、豆の在庫管理システムなども提供している。
一般家庭にもAI焙煎の波は広がりつつあり、イスラエルのスタートアップ、ansāは、誘電加熱の技術を利用した小型のAI焙煎機を開発。日本でも、コーヒー焙煎機を販売する兵庫県豊岡市のZENZOが、焙煎士の技術をAIで再現した小型焙煎機を販売している。
image : Cropster
「ビーンレスコーヒー」や「細胞培養コーヒー」
コーヒー業界を取り巻くトレンドとして、コーヒー豆を使わない「ビーンレスコーヒー」の存在も見過ごせない。植物由来の原料を用いるアプローチが主流だが、細胞培養技術を用いた手法も注目されている。
米シアトル拠点のスタートアップ、Atomo Coffeeは、コーヒーと同じ分子構造を持つ天然由来の農産物をアップサイクルし、コーヒーフレーバー飲料を生み出すことに成功。デーツ種子、ラモン・シード、レモン、エンドウ豆たんぱく質など多岐にわたる食材から、従来のコーヒーに含まれる28の化合物を取り入れることで味わいを再現した。
Atomoのコーヒーは2024年8月、日本初上陸を果たし、東京都渋谷区内のカフェで提供されている。
同社と同様のアプローチを取る企業として、米国のVoyage Foods、Minus Coffee、オランダのNorthern Wonderなどもいる。
細胞培養肉のように、コーヒー植物の細胞を培養して作る「細胞培養コーヒー」も新しいタイプのコーヒーとして研究開発が進められている。この領域に取り組む企業としては、イスラエルのPluri、フランスのSTEMや、米国のCalifornia Culturedなどが挙げられる。
このうち、イスラエルのバイオ技術会社Pluriは2024年1月、新事業としてPluriAgtechを立ち上げ、細胞培養コーヒー分野に参入すると発表。コーヒーの葉などから採取した細胞サンプルをバイオリアクターで培養する基本的な製造方法に、独自の3D細胞培養技術を掛け合わせるという。
image : Pluri
TECHBLITZが選ぶ、コーヒー関連のスタートアップ5選
ここまでで紹介した企業以外にも、キノコを使った有機コーヒーや「一瞬で溶ける」インスタントコーヒーを開発したスタートアップなど、コーヒー業界をにぎわす"ホット"な存在は少なくない。TECHBLITZ編集部が選ぶ、コーヒー関連のスタートアップ5社はこちら!
1. Peak State Coffee
設立年 | 2019年 |
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所在地 | 米国 コロラド州 ボールダー |
2. Saturnbird Coffee
設立年 | 2011年 |
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所在地 | 中国 湖南省 長沙市 |
3. Voyage Foods
設立年 | 2021年 |
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所在地 | 米国 カリフォルニア州 オークランド |
4. Revive Eco
設立年 | 2015年 |
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所在地 | イギリス グラスゴー |
5. Oatside
設立年 | 2020年 |
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所在地 | シンガポール |