<目次>
・ペルチェ素子搭載で「触れると冷たい」
・放射冷却現象を応用した「木陰の涼しさ」
・TECHBLITZが選ぶ、クールテック関連スタートアップ3選
ペルチェ素子搭載で「触れると冷たい」
例えば、スタートアップ創出などを支援するSonyのアクセラレーションプログラムから生まれた社員発案のウェアラブルデバイス「REON POCKET(レオンポケット)」はデバイス自体が冷たくなる製品。あくまでもデバイスが冷たくなる仕組みで、冷風が出るわけではないのが新しいところだ。
この製品に搭載されているのは、ペルチェ素子といわれるサーモモジュール。ペルチェ素子は通電することにより、片側が冷えて、反対側が温まる半導体モジュールで、デバイスが接触している部分の体温を下げることができる。インナーウェア装着型なので、夏でもスーツを着用する機会のあるビジネスパーソンにも嬉しい製品だ。ちなみに、冷温対応で冬でも使用できる。
ポーランドのスタートアップ、DAC(Dynamic Air Cooling)は、冷蔵庫やエアコンの媒体に使用されている「代替フロン」ではなく、空気を媒体として使う冷気発生技術を開発した。これまでの冷却装置は、ガスの断熱圧縮・膨張プロセスの原理に基づいていたが、DACが開発したのは空気の熱エネルギーを運動エネルギーへ変換することで空気を直接冷却するという新しい技術。温室効果のある代替フロンを使用しないだけでなく、空気から取り出したエネルギーを電力に変換するためエネルギー効率が高く、環境に優しい技術となっている。
image: Sony Thermo Technology
放射冷却現象を応用した「木陰の涼しさ」
地球上の熱が宇宙に放出されて地表が冷える「放射冷却」という現象を応用した技術で、「電力を使わずに冷却」することを可能にした日本発のスタートアップもいる。大阪ガスがベンチャーキャピタルのWiLと合弁で設立したSPACECOOLで、「世界に木陰の涼しさを」という聞くだけで涼しくなりそうなスローガンを掲げている。
独自の多層構造によって、太陽光をブロックし熱吸収を抑える遮熱機能(反射率95%以上)と、「大気の窓*」の波長域の赤外線を増大し、宇宙に放射を行うことで熱を捨てる放射冷却機能(放射率95%以上)を両立している。
大気には光の透過率が高い波長と、透過率が低い波長が存在する。光エネルギーの形で熱を宇宙空間に輸送するには大気の透過率が高い波長が優れており、特に透明性が高い波長8-13μmの波長範囲を「大気の窓」と呼ぶ。
同じ放射冷却現象の応用で、屋根に当たる太陽光を放射して建物の温度上昇を抑える「放射冷却塗料」を展開しているのは米国のスタートアップ、Ceracoolだ。同社が開発した「放射冷却塗料」は、屋根に塗ると太陽光を95%以上跳ね返し、周囲の空気や建物を温める効果を大幅にカットできるという優れモノだ。なお建物の屋根だけじゃなく、道路にも塗ることができる。
image: Ceracool
TECHBLITZ編集部が選ぶ、クールテック関連スタートアップ3選
TECHBLITZ編集部が選ぶ、クールテック関連のスタートアップ3社はこちら。
1. SPACECOOL株式会社 ゼロエネルギーで外気より低温にする
設立年 | 2021年 |
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所在地 | 日本 東京 |
2. Ceracool ガラスコーティング剤で温度を約3.5℃下げる
設立年 | - |
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所在地 | 米国 メリーランド州 カレッジパーク |
3. Dynamic Air Cooling 熱放射しない、環境に優しい空調&冷却
設立年 | 2019年 |
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所在地 | ポーランド エルブロンク |