※レポート本誌は、2024年11月に「BLITZ Portal」ご利用企業向けに発刊しております。
スペーステック(航空宇宙)の今とこれから
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出典: Research & Markets “ Space Technology (Space Tech) Global Market Report 2024"
2024年、宇宙開発は飛躍的な進展を遂げました。起業家のジャレッド・アイザックマン氏による民間宇宙飛行計画「Polaris Program」では、9月に最初のミッションとして起業家イーロン・マスク氏が率いるSpaceXのFalcon 9ロケットで有人宇宙船クルードラゴンを地球から約1,400km離れた軌道へと打ち上げました。5日間の滞在期間中に初の民間人による宇宙遊泳を成功させ、無事の帰還を果たしました。 10月には中国が2050年までの野心的な「国家宇宙科学中長期発展計画」を発表。「地球外生命体の探索」を含む包括的なビジョンを示し、有人宇宙船「神舟19号」の打ち上げに成功しました。また同月、SpaceXが地上に戻ったロケットを箸で挟みこむように空中で捕獲し、ロケット再利用技術の画期的な実証に成功しました。打ち上げコストを大幅に削減し得る、機体の損傷を抑えた効率的な再利用技術として、宇宙輸送の新時代の幕開けを予感させるものとなりました。国内の宇宙開発も着実に前進しており、11月に新型基幹ロケット「H3」の4号機が種子島宇宙センターから打ち上げられ、防衛通信衛星「きらめき3号」の軌道投入に成功。国産ロケット技術の信頼性の高さを内外に示しました。 スペーステックの市場は近年、急速な成長を続けています。Research&Marketsのレポートによると、世界的な市場規模は2024年の$462.43Bから2028年には$612.91Bへと、年平均成長率(CAGR)7.3%で拡大する見込みです*。この成長は主に、ロケット技術の進歩、推進システムや宇宙状況把握(SSA)技術の発展、衛星コンステレーションや宇宙における研究開発・製造能力の拡大、宇宙データサービスに対する需要の増加などに支えられています。 スペーステックの発展は、衛星技術のコスト低減や宇宙ベースのソリューションへのアクセス向上をもたらしています。これにより、従来の航空宇宙産業の枠を超えて、その応用範囲が急速に拡大し、農業・食品産業、サプライチェーン管理、物流、小売業、消費財、製造、防災、そして防衛分野に至るまで、幅広いセクターで革新的なイノベーションが進行しています。この分野横断的な宇宙関連技術の波及は、産業界全体にパラダイムシフトをもたらし、新たな事業機会と効率化の可能性を創出しています。スペーステックの多面的な影響力が今後の経済発展と社会進歩の重要な推進力となることが期待されます。
*Research & Markets “ Space Technology (Space Tech) Global Market Report 2024"
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推進システム
宇宙探査ミッションでは長期にわたる推進力の確保が成功の鍵を握ります。また高度な推進技術は、近年増加している小型衛星コンステレーションの効率的な軌道制御にとっても重要な要素です。この領域のトレンドとしては、核熱推進システムや水素燃料エンジンの開発、電気推進システムの進化、環境に優しい推進システムの開発などがあげられます。
Aliena
繊細な操作を可能にする電力推進システム
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Image : Aliena HP
小型衛星向けの低電気推進エンジンを開発する、南洋理工大学(NTU)のスピンオフ企業。同社の「Multi-Stage Ignition Compact」電気推進システムは、超低軌道(VLEO)での小型衛星の性能と運用能力を大幅に向上させる、ターンキーのプラグア ンドプレイ推進ソリューション。さまざまな宇宙ミッションに容易に統合できる点が特徴。推力と比推力の広範なダイナミックレンジを実現するモジュールアーキテクチャで、4Uフォームファクターで最小0.1mNから最大3mNまでの推力と最大15kNの 総推力を実現する。VLEOからの高品質なデータ提供を支援することで、環境モニタリングやグローバル通信といった商用および持続可能性分野のアプリケーションにおいて重要な役割を果たすことが期待されている。同社は2023 Hello Tomorrow Global ChallengeのAerospace部門でアワードを受賞した。
- 資金調達額累計:$6.7M / Series A
- 本拠地:シンガポール
- HP:https://www.aliena.sg/
- 企業概要ページ:https://blitzportal.com/startups/-gjLOQBKo
宇宙インフラ&製造
宇宙開発の進展に伴って、宇宙へのアクセスの確保や宇宙空間での活動の幅を広げるためのインフラ整備は不可欠なものとなってきます。ミッションに適した衛星バスを提供するソリューションや月面での資源利用を促進するサービス、微小重力環境下での製造や開発を支援するプラットフォームなど、宇宙でのさまざまな活動を支えるサービスを提供するスタートアップをご紹介します。
Vardriesa Space Indust
地球軌道上でのR&Dを支援
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Image : Vardriesa Space Indust HP
地球軌道上での研究開発や材料開発、製造、製薬などを実現するプラットフォームを開発する企業。微小重力製造モジュールと再突入カプセルで構成された同社のシステムは、顧客のペイロードを搭載したモジュールを軌道上で展開して自動稼働させ、プロセスの完了後に再突入カプセルで地球に帰還させる。2024年2月、HIV/AIDS治療薬の結晶を軌道上で製造した後に米国ユタ州の砂漠に帰還させる実験に成功している。
- 資金調達額累計:$141.0M / Series B
- 本拠地:米国 ワシントンD.C.
- HP:https://www.varda.com/
- 企業概要ページ:https://blitzportal.com/startups/Varda-Space-Industries-JxyP531j
- 記事:https://techblitz.com/startup-interview/varda-space-industries/
宇宙エネルギー
再生可能エネルギーは気候変動対策の切り札として期待されていますが、その普及は発電コストや発電量の不安定性、供給システムの課題などから十分なスピードで進んでいません。宇宙ベースのエネルギー開拓はこの課題に対する解決策のひとつとして注目を集めています。また、宇宙でのさまざまな活用の拡大には不可欠であるエネルギーグリッドの整備にも注目が集まっています。
Star Catcher
宇宙ベースのエネルギーグリッド
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Image :Star Catcher HP
人工衛星の高機能/高出力化により、地球低軌道(LEO)における電力需要の拡大に応える、宇宙空間の電力給電網を開発する企業。発電衛星から顧客の衛星のソーラーアレイへ太陽光の数倍の光のエネルギーを供給する。独自のパワービーミング技術によって、必要な時に希望するレベルと密度での供給が可能。顧客は衛星を改造したり電力の制約を受けたりすることなく、ミッションを延長できる。発電衛星は電力網全体で何千もの送電先に同時に電力を供給することが可能。地上での実証後、2025年後半の軌道上実証を経て商用サービスの展開を行う予定。既に遠隔センシングや国家安全保障、通信などの分野の民間宇宙企業6社以上から契約の意向が示されているという。Made In SpaceやRedwireの元経営陣であった共同創業者らは、宇宙電力分野のSpaceXを目指すとしている。
- 資金調達額累計:$12.3M / Seed
- 本拠地:米国 フロリダ州 ジャクソンビル
- HP:https://star-catcher.com/
- 企業概要ページ:https://blitzportal.com/startups/Star-Catcher-9KpVVkLx
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