ECサイトに掲載する3D商品画像を作成するプラットフォームを提供する、nfinite(本社:フランス)。EC上で商品を販売する小売業界やメーカーは3Dの商品画像に注目し、導入を広げている。なぜなら、ECサイト上の3D商品画像は2Dと違い、商品の特徴を掴みやすく、購入率も高まるからだ。新型コロナの状況下でECの販売金額が伸長したことも受け、ECの拡大とともにnfiniteは成長を続けている。「商品撮影(物撮り)のコストを抑え、効率的で効果的」だとプラットフォームの特徴を説明する、創業者でCEOの Alexandre de Vigan氏に話を聞いた。

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商品画像の良し悪しがECのコンバージョンに関わってくる

――御社はどんなサービスを展開しているのでしょうか。

 nfiniteは、3Dビジュアライゼーション技術を搭載した、小売業向けの3D商品画像を作成するSaaSプラットフォームです。私たちのミッションは「分かりやすい3D商品画像を通して、オンラインの買い物体験とKPIを向上させること」です。

 ECでの購入金額は世界中で拡大傾向にあります。コロナ下での追い風もありましたし、今後もこのトレンドは続くでしょう。そしてビジネスを成長させたいEC事業者にとって、商品画像はとても重要です。

 なぜなら、ECは実店舗と違い、商品の「画像」が消費者とコミュニケートする「唯一の手段」だからです。商品の特徴や消費者に伝えたいメッセージが明確か否かが、売上に直結します。コンバージョン率の向上や見込み客の獲得、ページビュー、最良なオンラインショッピング体験の提供は、商品画像の良し悪しにかかっているといっても過言ではないでしょう。

 そんな中、さまざまな角度から商品を細部まで確認できたり、アニメーション機能がついていたりする、3Dの商品画像が注目されています。多くの小売業者やメーカーは、3D商品画像を求めています。

Alexandre de Vigan
nfinite
Founder & CEO
University of Assas、Colombia UniversityでBusiness Law と Taxationの修士号を取得後、HEC School of ManagementでInternational Managementの修士号を取得。M&A専門の弁護士としてキャリアをスタートさせ、2014年にEC不動産仲介サイトの「Matchimmo」を創業。自身の住まいの内装に苦労した経験などから2017年、nfinite社を創業し、CEOに就任。

 nfinite の3D商品画像作成プラットフォームでは、いわゆる2Dの「物撮り」よりも短期間で、多くの商品画像をつくることを可能にします。また、画像の修正やアップデートも、物撮りと違い、何度も行えます。これは、当社が開発した3Dビジュアライゼーション技術のたまもので、商品の360度画像をつくったり、商品背景を適切なものに変えたりすることも可能です。nfiniteは、物撮りより平均2~10倍ほど早く商品画像を作成し、コストを50%削減する、より効果的で、経済的なプラットフォームになっています。

 nfiniteを使用して3D商品画像をつくった小売業は、ECサイト上での商品を「買い物カゴに入れる」率平均30%増を達成するなど、消費者の心を掴んでいます。

家具販売から食品スーパー、化粧品、アパレルなど幅広い顧客企業

――どのような企業が、御社のサービスを使っているのですか。

 nfiniteは、米国の小売業ランキングでトップ5にランクインしている企業のうち、3社を顧客に抱えるなど、世界的に認知されています。

 ヨーロッパの企業に広く取り入れられており、具体名を挙げるとフランスの家具小売チェーンの「Conforama」やホームセンターの「Leroy Merlin」、食品小売大手の「Carrefour(カルフール)」などがあります。フランスを中心に、ヨーロッパの名だたるブランドが当社の顧客です。

 当社の顧客には、家具販売から食品スーパー、化粧品、アパレルなど多岐にわたるブランドが名を連ねています。

 それらのブランドが自社、または外部のECサイトで展開する商品画像や、紙の商品カタログからオンライン化=3D化する際にも、nfiniteが使われています。さらに、実店舗におけるPOPなどの販促物にnfniteで加工した画像が展開されているケースもあります。

 また、小売業だけではなく、メーカーも当社の顧客です。メーカーがより良い商品画像を小売店に見せることができれば、小売店がそのメーカーの商品を実店舗や自社ECサイトで展開する可能性も高まるからです。このように、nfinitteは製造と販売の両者に向けてプラットフォームを提供しています。

 小売業やメーカーの販促にかかわるあらゆるシーンで、nfiniteの3Dビジュアライゼーション技術が活躍しているのです。

Image:nfinite

競合との差別化で打ち出す「3つの強み」

――競合他社とは、どのような点で差別化を図っているのでしょうか。

 ECの拡大はとどまることを知らず、多くの企業がオンライン上の3D商品画像制作プラットフォームに参入しています。そんな中、当社は競合と異なる強みを3つ打ち出しています。

 1つ目に、nfiniteが作成可能な商品画像の数です。当社は、小売業からメーカーまで、10~50万点の製品の3D商品画像をつくる能力があります。これほどまでに莫大な種類・数の商品画像を手がけられるプラットフォームは世界のどこにもありません。

 2つ目に、商品の使用例に合わせた3D商品画像を作成できることです。EC上で買い物をする消費者が商品画像を一目で見て「この商品はこのように使うのだ」とイメージできる画像をつくっています。

 最後に、nfiniteのプラットフォームの使い勝手の良さです。オンライン上での買い物が当たり前になり、当社の競合は、ECをメインにビジネスを行うブランドに向けたソリューションを提供しています。「メタバース・リテイリング」などはその例ですね。そんな中、nfiniteは、EC用の商品画像に関するデザインスキルがないブランドにも利用されています。つまり、間口が他社よりも広いということです。これは、当社の3Dビジュアライゼーション技術がとてもシンプルで、使いやすいことを示しています。

――御社は2022年6月、シリーズBラウンドにおいてInsight Partnersをリードインベスターに約1億ドルの資金を調達しました。これまでの資金調達額は約1億2220万ドルに上ります。資金の使い道について教えてください。

 フランス政府からの研究開発費の補助金を含めると1億3000万ドルほどに上ります。調達した資金は3つの事業に投資していく予定です。

 1つ目は、「The Nfinite Community」という、3Dモデリング・アーティストが集まる世界最大のコミュニティに投資することです。商品画像における3Dモデリングの必要性は日に日に高まっていますが、それを構築できる人材の絶対数が不足しています。これは業界全体の問題ですので、当社が人材を育成していきたいと考えています。「The Nfinite Community」はそれを実現するためのコミュニティです。

 2つ目は、プラットフォームの精度向上です。動画の自動3D化の新機能搭載を含め、世界中にいる当社の100人以上のエンジニアが、より良いプラットフォームをつくっていきます。

 3つ目に、日本市場を含めたアジア・太平洋地域など、世界中でシェアを拡大するための営業チーム強化です。人材の採用を推進し、多くの顧客を獲得していきたいです。

Image:nfinite

日本市場は重要な位置づけ 大企業とのパートナーシップも検討中

――日本市場に進出する予定はありますか。

 日本市場は、当社の戦略上、最も重要な市場の一つです。既に数カ月前から、日本でも当社のメンバーが活動しています。nfiniteはグローバルに使われるプラットフォームになるポテンシャルがあります。特に、アジア・太平洋地域では、ECでの買い物が今後より一層拡大していくことが予想されます。日本市場はアジア・太平洋地域で有数の市場ですし、同地域の深耕を考えたときに、重要になっていく市場だと言えるでしょう。

――日本の大企業と協業したいというお考えはありますか? あるとするならば、どのような分野・業種の企業との協業を求めていますか。

 日本市場に適応し、当社のバリューを発揮できる形のパートナーシップであれば、出資、ジョイントベンチャー、パートナーシップなど、形態にとらわれず、協業していきたいと考えています。

 日本の大企業とパートナーシップを提携するとすれば、大手食品小売業や大手家具小売業など小売業との協業を希望します。小売業が当社のメインの顧客ですし、アメリカやヨーロッパ諸国、タイなどの他のアジアの国でも、小売業とのパートナーシップを構築しています。具体例をあげると、スウェーデンの世界的な家具販売店大手の「IKEA(イケア)」は当社のスポンサーになっています。日本でも、3D商品画像に関心がある企業と話をしてみたいですね。

――最後に、御社の長期的な目標を教えてください。

 3D商品画像プラットフォームの「Salesforce(セールスフォース)」になることです。この業界は成長中ですし、未来も明るいです。そんな業界でトップを走る当社は、業界の「セールスフォース」、つまり「スタンダードをつくる」存在になることを目指していきます。今後も、小売業・メーカーにより良いサービス体験を提供し、ビジネスを世界中に広げていきたいですね。

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