
【厳選】2019年下半期に資金調達した注目のリテールテックスタートアップ5社
最先端ハードウェアを取り扱うショールーム型店舗b8ta
設立:2015年
事業:ショールーム型店舗での最新IoT、ハードウェア商品の展示、販売
調達額:9210万USドル(2020年1月現在)
VC:Evolution VC Partners, Khosla Ventures, Plug and Play Tech Center
拠点:San Francisco, California
すでにご存知の方も多い実店舗でのハードウェアの展示・販売を行う「b8ta」は昨年10月に追加の資金調達をし、さらにスケールしている。
b8taでは実際のプロダクトを展示しており、ユーザーは直接プロダクトを確かめて購入できる。また商品を展示している販売者側は店内のカメラでユーザーの行動・販売履歴を分析し、商品のプロモーションやテストマーケティングを行うことができる場となっている。展示している商品数は店舗当たり平均で120商品、アメリカの主要14都市に24店舗を構えているほか、ドバイにも出店している。b8ta側は販売収益は一切得ておらず、商品展示の月額フィーで収益を得ている。顧客対象はハードウェアスタートアップであり、試作品ではなく、市場で実際に販売できる商品のみ取り扱う。
「Build by b8ta」というパートナーシッププログラムも開始し、GoogleやNetgearのパートナー商品を大々的に取り扱う店舗を用意している。日本企業とのパートナーシップを組むなど、積極的に日本企業とのコラボレーションを行っている。詳しい記事はこちら。
天井カメラのみでレジレス化できるStandard Cognition
設立:2017年
事業:天井カメラのみで低コストに店舗のレジレス化を実現する「Standard Checkout」の開発
調達額:6230万USドル(2020年1月現在)
VC:Y Combinator, Initialized Capital, Draper Associates, CRV
拠点:San Francisco, California
Standard Cognitionは店舗のカメラ映像から、AIを基盤としたコンピュータービジョンにより、消費者の購買行動の自動認識し、消費者がレジを通す必要なく、商品を購入できるようにしている。消費者は入店時にアプリを起動すれば商品を持って店から出るだけで決済が完了できる。アプリがない場合でも商品をキオスク端末まで持っていけば商品を認識、現金やクレジット、ICカードで決済が可能。従来のレジレス技術は、無数のカメラを設置するほか、RFIDや商品棚のセンサーを利用するのが一般的だったが、同システムでは天井にカメラを設置するだけでキャッシャーレス化が可能となり、店舗側の負担が軽減される。
カメラ映像からデータを収集するため、入店者のプライバシーが気になるが、取得するデータはあくまでも消費者がどの商品を手に取り、お店を出たのかといった店舗内の購買行動のみを取り扱うようにしている。2018年9月にはSan Francisco市内に直営店「Standard Market」をオープンし、27台のカメラが設置され、画像認識の精度は99%を誇るという。
2019年7月には追加で3500万USドルを調達し、Valuationは5億3500万USドルにまでなっている。
セルフ決済可能なスマートショッピングカートCaper
設立:2015年
事業:ディープラーニングを用いて自動決済可能なスマートショッピングカートを開発
調達額:350万USドル(2020年1月現在)
VC:Y Combinator, First Round Capital, Precursor Ventures
拠点:Brooklyn, New York
Caperは、Amazon Goのように店内に無数のカメラやセンサーを設置することなく、同社のスマートカートを導入するだけでレジレス化することができる。消費者にとっても商品をカートに入れるだけで、商品の購入が完了するため、レジの列で待つ時間などを削減できる。
当初の技術ではカートに取り付けられたスキャナーにバーコードをかざすことで、カゴに入れられた商品の合計金額がディスプレイに表示される仕組みだった。現在は、画像認識技術を用いいることで、スキャンをせずとも、カゴに商品を入れるだけで商品を認識することが可能になった。また、バーコードの付いていない野菜や果物に関しては、画像認識技術とカートに埋め込まれた重量センサーで重さを測り、料金が加算される。カートには決済端末が取り付けられており、ユーザー自身で会計を済ませ、そのまま退店できる。
カートについた小型ディスプレイでは、商品の位置やセール情報などを表示させることができ、店舗側は消費者により良い購入体験を提供できる。またディープラーニングを用いてカートに入れたアイテムの組み合わせからレシピを予測し、必要になるであろう商品をレコメンドする機能もある。
店舗側は収集した消費者の買い物データから商品陳列棚の改善や在庫管理にも役立たせることができる。
現在、ニューヨークのスーパー(2店舗)にて導入。他にも複数のスーパーマーケットと提携しており、一部の店舗でスキャンを必要としないスマートカートの導入が始まっている。詳しい記事はこちら。
自律ロボットの商品棚チェックシステムSimbe Robotics
設立:2014年
事業:自律走行ロボットによる小売店舗の商品棚チェックシステムを開発
調達額:2600万USドル(2020年1月現在)
VC:Riot Ventures, Tectonic Ventures, SOSV, Lemnos
拠点:San Francisco, California
小売業界における在庫切れの機会損失は、世界で年間4480億ドルに上ると言われ、また大型店舗の商品棚チェックには膨大な人的コストが費やされている。
Simbe Roboticsのロボットを利用すれば、40個のセンサーが搭載されたキャプチャーシステムで、商品棚のスキャンを行い1時間に15,000〜30,000の商品のチェックが可能である。小売業者は、クラウドに集計されたデータを分析することで、棚割りを構成したり、余剰在庫を削減したりしてオペレーションの効率化を図ることができる。同社の機械学習による画像認識を用いたRFIDタグの読み取り精度は99%と高く、在庫の数量確認だけでなく、配置や値札の間違いなどあらゆる商品棚の情報を集計することが可能だ。
衝突回避システムによって店舗の営業時間内でもロボットを稼働させることが可能で、顧客の安全を確保しながらタスクを実行することができる。完了後にはロボットは自動的に充電ドックに戻る。
2015年11月の発表以来、累計4,500kmの店舗内移動と3,200万の商品棚、1億5,000万点の商品スキャンと豊富な実績がある。
新たな購買体験を可能とする映像解析技術Accel Robotics
設立:2015年
事業:AIとコンピュータービジョンを活用し映像を解析する、商業施設向けビジュアルオペレーションシステム
調達額:550万USドル(2020年1月現在)
VC:EvoNexus, RevTech Venture, New Ground Ventures
拠点:San Diego, California
Accel Roboticsは、商品を手に取りそのまま店外に行けるレジレスショッピングや、店舗でのデジタルサイネージ(電子看板)注文といった新たな購買体験を可能とする映像画像分析および運用システムを開発している。同システムは映像内の人・製品・行動を分析する独自エンジンAura Perception Engineをベースに、そこにAI、コンピュータービジョン、神経科学などを組み合わせ構成されているシステムだ。
このシステムは拡張性が高いため、商品の減り具合を検知するスマート棚や監視カメラへの搭載も可能である。小売業以外にも、住宅、宿泊施設、空港、コワーキングスペース、エンターテインメントといった商業スペース全般における、映像を活用した様々な顧客サービスの自動化に対応することができる。
日本ではECソリューション事業を展開する株式会社AMSが、2018年9月に目黒駅側にオープンした直営店舗 as green as possibleにて、カメラやAIを利用した顧客行動分析やレジレス決済の実証実験に、同社の技術を初めて導入している。
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