2014年設立のRancherは独自のクラウドベース型のオープンソースソフトウェアプラットフォームを提供しているスタートアップ。コンテナと各企業のアプリケーションに対応したサービスを展開して注目を集めている。今回は中国出身の共同創業者でCEOのSheng Liang氏に話を聞いた。

Sheng Liang
Rancher Labs
Co-founder & CEO
中国科学技術大学にて学士号を取得後、渡米しエール大学にて博士号取得。Sun Microsystemsにてエンジニアとして勤務した後、Terosの共同創業者となる。2005年にCitrixに買収された後、自身で共同創業者とCEOを務めたCloud.comを合併し、Citrix SystemのCTOに就任。その後、2014年にRancher Labsを共同創業し、CEOに就任。

あらゆるインフラと言語に対応する柔軟性

―まず御社の事業概要を教えてもらえますか。

 私たちはオープンソースのコンテナ管理プラットフォームを提供しています。このサービスは新しいタイプのクラウドサービスです。従来、クラウドサービスは仮想マシーンを設置しますが、コンテナはまさにその軽量版のようなものといえます。コンテナを利用してクラウドを実装する、もしくはコンテナサービスを組み立てることで、それぞれの組織が各自の要望に応じてアプリケーションを実装できるのです。

―他のコンテナサービスと比較した強みは何でしょうか。

 Rancherは組織やIT企業の管理において非常に実装しやすい、革新的なオープンソースプラットフォームです。コンテナを実装したアプリケーションは操作性に優れており、管理しやすくアップグレードも可能です。

   さらにRancherは100%オープンソースです。そのため世界で一番多くのユーザーを獲得し、最高の製品を備えています。次に、コンテナを起動する上でのインフラのレイヤーの構築に力を入れています。例えばAWS、VM ware、Open Stac、Bare Metal service、Cloud Stack などの企業が実際に必要としているインフラを取り扱っています。

   最後にRancherは、一つのソフトウェアとプラットフォームであらゆるユーザーの要望にも初期段階から対応し、複数のコンテナの運営も同時にサポートすることができます。

―オープンソースのプラットフォームということですが、ビジネスモデルを教えてもらえますか。

 コンテナを組み込み、重要なプロジェクトを遂行するには、必ずサポートが必要になります。なぜなら万一の事態が起きた際、我々のような頼み綱が必要だからです。我々は料金をいただき、サポートをしています。

Image: Rancher

オープンであり続けるからこそ掴めるチャンス

―クライアントの利用事例を教えてもらえますでしょうか?

 まず去年のRancherのダウンロードは100万回を超えました。友人のツイートでロンドンにDockerファンで組織されているドッカーミートアップがあり、そこの会員がNHS(国民保健サービス)出身でRancherを組み込もうとしていたそうです。NHSは全国の保険全般と政府主体の保険を管轄する英国の政府組織で、アプリケーションを開発する際にRancherの魅力に気づき、運用にRancherを使っているそうです。

 また、最近はアジアからのダウンロードも増えました。登録して数ヶ月して本格的に使用する際に我々にサポートを依頼してきますね。日本の顧客にもサポートを提供するため、東京にも拠点を設けています。

一番でなければ次はない

―Liangさんは三度目の起業だそうですね。起業にあたって心がけていることは何ですか。

 アメリカ、特にシリコンバレーは、異なるバックグラウンドの人々が起業することを奨励しています。私たちのようなテクノロジー系の会社はアメリカ市場をまず押さえます。なぜならユーザーの対応や製品のデザインなどは、国ごとに大きく変わってくるからです。実際に日本で売れている携帯はアメリカで売れていなかったりというように、アメリカ仕様のサービスを日本にそのまま持ち込むことは通常できません。しかし我々のようなテクノロジーをビジネスにする会社は多くの共通点があります。アメリカ市場で起業する利点は、世界で一番メジャーで戦略的な市場、アメリカ市場に飛び込むことができることででしょう。アメリカ市場を制覇することで一番の製品であると証明することになります。そうすると、日本のような市場にもスムーズに進出できるのです。

  また、前の会社を起業して間もないころ、とある投資アドバイザーが「事業を始めたら、次のステップはその分野において世界で一番にすることだ」と言いました。この言葉に私は大変感銘を受けました。ここで起業家に向けた一つの教訓として伝えたいのは、会社を始めたいのなら、その分野で一番になるための戦略とプランを必ず持たなければならないということですね。

  一番であれば、遅かれ早かれ、多くのビジネスの話が舞い込むでしょう。一番ですらなく、二番手でも三番手でもなければ、市場での機会は小さくなるでしょう。リソースや人材、財源はこの時代あふれかえっています。大事なのは、やりたいことは何でも一番であれということです。



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