Image: Firefly
ライドシェアの車上ディスプレイに広告を表示するFirefly。ライドシェアの運転手の報酬が少ないことを解決し、地域のコミュニティを活性化する理念を掲げるCEOで共同創業者のKaan Gunay氏に話を聞いた。

Kaan Gunay
Firefly
CEO
ブラウン大学で学位(Science in Mechanical Engineering)取得、スタンフォード大学でMBA。ヘッジファンド、Habitat for Humanity等を経て、2017年にFirefly創業。

運転手が平均月300米ドル稼げる

―どんなサービスを提供していますか?

 私たちはUberやLyftなどのライドシェア車の上に、そのシチュエーションに合った広告を表示できるスマートディスプレイを提供しています。

 ライドシェアが爆発的に拡大して、それに伴い運転手の賃金は激減しています。それなりの稼ぎを得るためには長時間働かなければならなくなっています。Fireflyは直接こうした運転手たちにディスプレイ導入を働きかけ、走っている時間帯、地域に適した広告を表示することを可能にしています。

 これにより運転手たちは広告収入を手にすることができます。ディスプレイをインストールするだけで、現在Fireflyのネットワークにいる運転手は平均して月300ドルの収入を手にすることができ、運転している時間に上げられる利益が20%も上がっています。UberやLyftなどのライドシェアを活用している個人に加え、既存のタクシーや配達サービスとも組もうとしています。

小規模ビジネスや地方自治体の情報も

―どんな広告が多いのですか?

 スクリーンに表示されるのはブランドから小規模なビジネス、チャリティの広告であることもありますし、地方自治体からの有益な情報を流すということもできます。

 たとえば「California Clean Air Day」という空気をきれいにするための運動をカリフォルニア州で周知するためにロスアンゼルスエリアで4週間キャンペーンを展開しました。

 HotelTonightの広告は、観光客が多く通るところで集中的に流し、ターゲットに確実に届くようにしています。HotelTonightのメディアマネジャーJulian Weintraub氏は「これまで屋外の宣伝スペースがなかったり制限があったりして戦略的に重要な場所でも広告を出せなかった場所でユーザーにアプローチできる」と評価してくれています。

 2017年に創業してから急拡大をしており、50の主要ブランドから広告を受け、11万時間の運転時間を記録しています。

Image: Firefly

コミュニティ、人を重視したい

―これまでどのようなキャリアを歩んできたのですか?

 ヘッジファンドのBracebridge Capitalでキャリアをスタートさせ、その後Habitat for Humanityでシリア難民の救済支援に関わりました。

 共同創業者と私はトルコで共に育ちました。そこからたまたま二人とも(スタンフォード大学のある)パルアルトで勉強したり働いたりしていて、一緒にイノベーションを促進でき、しかも自分たちが情熱を感じてきた「人重視」のことができる会社をはじめようと決断したのです。私たちはコミュニティを第一にするモットーで、人々や政府やビジネスをつなげてより快適な都市を作ることをミッションにしています。

地方自治体に情報提供も

―どのように「コミュニティ重視」を実現していますか?

 広告枠の10%は地元のNPOやパブリックセクター、チャリティや市民運動、コミュニティ組織などに提供しています。地方自治体に対しては、市内の交通や環境について、たとえば渋滞のパターン、空気汚染のレベルや舗装の状態、通りの電灯などの情報もGPSとセンサーを使って提供していきたいと考えています。

 チェーン展開ではないコーヒーショップやレストラン、ブティックなどにも10%の非売枠を設けようと考えています。

―海外展開の可能性はありますか?

 現在はサンフランシスコ、ロスアンゼルスで展開しており、ニューヨークシティにも展開を考えています。現在は米国内に集中していますが、将来的にはグローバルパートナーと共に動くことも考えていきます。



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